2022 Fiscal Year Research-status Report
Molecular functins of m6A mRNA modification in plant cell differentiation
Project/Area Number |
22K06269
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
田村 謙太郎 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (40378609)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 修飾mRNA / メチル化 / エピトランスクリプトーム / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではmRNA修飾による,細胞増殖期から成長分化期へのスイッチング機構を明らかにすることを目的としている.m6A (N6-メチルアデノシン)による修飾mRNAは細胞内に豊富に存在しているが,植物におけるその役割は不明である.シロイヌナズナIPOD1はm6A修飾mRNAの読み取り (reader) タンパク質をコードしており,その欠損変異体は欠損すると,細胞の増殖期から成長分化期への切り替えが早まる.この発見を足掛かりにm6A修飾mRNAを通じた新しい細胞分化機構を明らかにしたい. 今年度は計画Cのm6A修飾mRNAの読み取りタンパク質ファミリーの機能解析を進めた.具体的にはIPOD1Lファミリーコードする各12種類の遺伝子の欠損変異体を単離した.それぞれの単独変異体は明確な表現型が見られなかったため.分子系統的に近縁なIPOD1L1, IPOD1L2, IPOD1L3, IPOD1L4遺伝子を同時に欠損した4重変異体を単離した.同時に,IPOD1L1の保存領域にアミノ酸置換を導入した優性変異体を作出した.これらの変異体は著しい成長不良を引き起こしており,野生型と比較して核相が昂進していることを見いだした.このことはIPOD1Lファミリーが細胞分化に関与していることを示唆している.さらにGFP融合タンパク質を用いた細胞内局在解析を行ったところ,IPOD1Lファミリータンパク質は細胞質に局在していること,熱ストレスによりストレス顆粒に局在を変化させることを見いだした.これらのことから,IPOD1Lファミリータンパク質はストレス応答に関与していることを示唆している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画初年度においてIPOD1Lファミリーコードする各12種類の遺伝子の欠損変異体を単離と4重変異体の作出をすることができた.これらの変異体の表現型解析および,GFP融合タンパク質を用いた細胞内局在解析からIPOD1Lファミリーの新しい機能を明らかにすることができた.研究期間全体で立てた3つの研究計画の柱の1つを初年度に遂行できた.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降,ipod1変異体における修飾mRNAの同定およびIPOD1と相互作用するmRNAの探索を行う.そのために効率的なmRNA免疫沈降法をまず確立することを目指す.今年度に単離したIPOD1Lファミリーの多重変異体および優性変異体を活用し,IPOD1Lファミリーの機能分担の解明を目指す.具体的には下記の計画で次年度以降進める. 1.IPOD1-GFPを発現する植物の抽出液からGFP抗体を用いてRNA免疫沈降を行う.沈降産物を精製してRNA-seqに共することで,IPOD1と相互作用するmRNAの探索を行う. 2.ipod1変異体におけるm6AmRNAを同定してその分子種を野生型と比較する.幼植物体から抽出したmRNAを用いて抗m6AmRNA抗体を用いて免疫沈降を行う.沈降産物をRNA-seqに共してm6amRNAの分子種の同定を試みる.
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Causes of Carryover |
(理由) 多重変異体および優性変異体の作出に当初の予定より時間がかかったため,RNA-seq解析を行えなかったため. (使用計画) ipod1変異体および,今年度作出した上記変異体を研究対象に加えて,RNA解析のために使用する.
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