2023 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of the mechanism for high light tolerance in photosystem I in the green alga Chlamydomonas reinhardtii
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22K06275
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
高橋 拓子 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (50748126)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 光化学系I / 光阻害 / チラコイド膜タンパク質 / 電子伝達 / クラミドモナス |
Outline of Annual Research Achievements |
光合成に必須な光化学系PSI, PSIIのうち、光感受性の高いPSII対し、PSIは光ストレス(強光)への耐性があることで知られる。このPSIの強光耐性機構を解明するために、1) PGRL1タンパク質の機能解明と2) PSI光阻害回復過程の解明を目的に研究を遂行している。1) 葉緑体チラコイド膜タンパク質の一つであるPGRL1を欠損すると、強光下でPSIが容易に失活(光阻害)することから、PGRL1はPSI の強光耐性に重要であることが示唆されている。PGRL1は生物種間で高度に保存される6つのシステイン残基を持ち、N末部位のシステイン残基はチオレドキシンと相互作用すると予測されている。しかし緑藻クラミドモナスにおいて、PGRL1のシステイン残基、特にC末部位に存在するものについては、まだ機能が同定されていない。そこで、本研究ではクラミドモナスPGRL1システイン残基のセリン残基への置換配列をPGRL1欠損株へ導入し、PSI光感受性が相補されるか解析を行なった。その結果、N末システイン残基はPSIの強光耐性に関与しないことが示された。一方C末端部位システイン残基置換株では、野生株の60%低度のPGRL1を蓄積する置換株においてもPSI光感受性は相補されなかった。さらにPPGRL1-C末システインはPGRL1の安定な蓄積に寄与すること、安定なPGRL1がPSIの強光耐性に必要であることが明らかになった。2) PSIは光阻害を受けにくいが、一度阻害を受けると回復に時間がかかることが予測されていたものの、その回復過程を詳細に解析した報告は極めて少なかった。本研究において、クラミドモナス野生株、PGRL1欠損株を用いてPSI光阻害とその回復過程を解析したところ、数時間で活性の回復が見られた。また、PSI光阻害からの回復には細胞内でのタンパク質が関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究協力者(学生)の不足により進捗スピードは速くはないが、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、1) PGRL1タンパク質の機能解明と、2) PSI光阻害回復過程の解明を目的に研究を遂行してきたが、PGRL1機能解析については投稿の目処が立ったため、今後はPSI光阻害の回復過程におけるPSI-LHCI複合体の動態について解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
24年度に研究グループの再編があり、年度が変わってから実験室内に実験器具等を導入するため。
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