2022 Fiscal Year Research-status Report
精子頭部の膜タンパク質MS4Aファミリーが受精機構で果たす役割
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22K06298
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
金子 たかね 九州大学, 農学研究院, 助教 (20363327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩森 巨樹 九州大学, 農学研究院, 准教授 (70647362)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | MS4A / 精子 / 受精 / 膜タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、本研究の目的である「受精に重要な役割を果たす可能性がある膜タンパク質MS4A (membrane-spanning 4-domains, subfamily A) ファミリーの受精における役割を明らかにする」ことを目指して、以下の①から③の研究を行なった。
① MS4A5およびMS4A14の局在、および中和抗体を用いた受精阻害実験:MS4A5およびMS4A14タンパク質の特性を確認するために、両タンパク質の抗体を用いて、精巣および精子での詳細な局在解析を、イムノブロット法および免疫組織化学的手法により行った。また中和抗体を用いた受精阻害実験を行ない、両タンパク質の受精における機能を検討した。MS4A13に関しては、令和4年度以前に、既に局在、および中和抗体を用いた受精阻害実験を行っている。 ② ゲノム編集技術による遺伝子改変マウスの作製:受精過程におけるMS4A5、MS4A13およびMS4A14の機能を調べるため、ゲノム編集技術CRISPR/Cas9法を利用して、既報を参考にノックアウトマウスを作製した。 ③ 遺伝子改変マウスの解析:②で作製されたMS4A5、MS4A13およびMS4A14の遺伝子改変マウスにおける精巣および精巣上体の精子を回収し、PCR法、また各MS4A抗体を用いたイムノブロット法および免疫組織化学的手法により、各MS4Aタンパク質が消失していることを確認した。次に、遺伝子改変マウスおよび対照マウスの精巣、精巣上体および精子について、大きさおよび重量などを比較、観察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は、研究実施計画通りの研究を行うことができた。 内容は、まず、MS4A5およびMS4A14タンパク質の特性を確認するために、両タンパク質の抗体を用いて詳細な局在解析、受精阻害実験を行ない、両タンパク質の受精における機能を検討できた。 次に、ゲノム編集技術CRISPR/Cas9法を利用して、MS4A5、MS4A13およびMS4A14のノックアウトマウスを作製することができた。 また作製された遺伝子改変マウスにおいて、精巣および精巣上体の精子を回収し、PCR法、また各MS4A抗体を用いたイムノブロット法および免疫組織化学的手法により、各MS4Aタンパク質が消失していることを確認できた。さらに、遺伝子改変マウスおよび対照マウスの精巣、精巣上体および精子について、大きさおよび重量などを比較、観察することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、各MS4Aタンパク質が消失していることが確認できた遺伝子改変マウスの詳細な解析を行う。 遺伝子改変マウスおよび対照マウスの精巣、精巣上体および精子について、顕微鏡を用いて精子形成過程から成熟精子までの構造上の異常性を詳細に観察する。また、遺伝子改変マウスおよび対照マウスから精子を回収し、精子の運動性を解析し、精子における形態異常との関連性を調べる。さらに、in vivoおよびin vitroで遺伝子改変マウス精子および対照マウス精子の受精解析を行い比較する。特にin vitroでは、先体反応、透明帯との接着および卵形質膜との接着・融合について、卵丘-卵複合体に進入する精子の経時的変化を詳細に観察することで、各MS4Aの機能をより詳細に調べる。in vivoでは、交尾行動、精子の雌性生殖道での動態および産仔数を含めて観察する。 さらに、MS4Aと相互作用する卵側の候補分子を見つけ、両分子の相互作用の解析を行う。 これらの得られた結果と既知の情報を統合することで、哺乳類の受精機構を明らかにすることを目指す。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:令和4年度に購入予定であった「卓上マイクロ冷却遠心機」については、研究室にある機器が、老朽化しているものの使用できたため、購入を見送ったため。また、購入予定の試薬なども、研究室にあるものが使用できたため、使用予定額よりも支出が少なくなった。 使用計画:令和5年度は、新しい大学に異動したため、実験に使用する器具・試薬が多く必要になる予定。 消耗品費:1,885千円(内訳:試薬 1,435千円・チップ、チューブ 100千円・ガラス機器 100千円・実験用動物 150千円・研究分担者分 100千円)、国内旅費:100千円(内訳:研究の成果発表のための経費 100千円)、その他:100千円(内訳:英文校閲料 50千円・学会誌投稿料 50千円)、合計:2,085千円。
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Research Products
(1 results)