2022 Fiscal Year Research-status Report
Studies on the biological function of the ovarian peptide CiDR1
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22K06307
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Research Institution | Suntory Foundation for Life Sciences |
Principal Investigator |
松原 伸 公益財団法人サントリー生命科学財団, 生物有機科学研究所・統合生体分子機能研究部, 研究員 (70710747)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | カタユウレイボヤ / 卵巣ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、カタユウレイボヤの卵巣から新規に同定したペプチドホルモンCiDR1について、受容体遺伝子を同定し、卵胞成長における機能を明らかにする事を目的としている。 2022年度は研究計画に従い、機械学習による受容体予測によって得られた15の受容体候補遺伝子について、細胞内Ca2+放出を促すG16alphaとの融合タンパクとしてSf9細胞に発現させ、ペプチドとの反応性を細胞内Ca2+放出として検証した。多検体自動蛍光測定装置FlexStationや、かん流装置と共焦点レーザー顕微鏡を用いてリガンド処理による細胞内カルシウムイオンの放出をタイムラプスで観察したが、CiDR1との有意な相互作用を検出することはできなかった。一方で、CiDR1の機能解析については、計画に先行してin situ hybridizationによる卵巣内局在解析を行い、Stage II卵胞のテスト細胞特異的に発現していることを明らかにした。また、in vivoの機能解析についてはCiDR1に特異的なCRISPR RNAを設計し、ゲノム編集体の作製に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は計画通り、機械学習による受容体予測によって得られた15の受容体候補遺伝子について、CiDR1との相互作用を検証した。受容体遺伝子の同定には至らなかったが、予測精度の向上に役立つ非相互作用情報を得ることができた。また、先行してin situ hybridizationにより卵巣内局在を同定することができ、ゲノム編集体の作製にも着手できたため、(2)のおおむね順調に進展している、の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、2022年度に得られた受容体候補遺伝子との非相互作用情報を用いて再度学習を行い、予測精度を向上させてあらためてCiDR1の受容体遺伝子を予測する。また、機能解析については、CiDR1に対する特異的な抗体を用いて免疫染色を行い、in situ hybridizationの結果をペプチドレベルで検証するとともに、免疫電顕解析を行うことによって分泌顆粒内への局在を検証する。さらに、CiDR1に特異的なCRISPR RNAをマイクロインジェクションした卵を用いてゲノム編集体を作製し、変異体系統の確立を目指すとともに、表現型の解析を行う。特に、初期発生時や幼生、変態期や変態後の幼若体期において表現型が見られる可能性もあるため、コントロール個体との比較を注意深く行うことで、卵巣形成や成体に至るまでの発生期におけるCiDR1の機能解明を目指す。
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