2023 Fiscal Year Research-status Report
Studies on the biological function of the ovarian peptide CiDR1
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22K06307
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Research Institution | Suntory Foundation for Life Sciences |
Principal Investigator |
松原 伸 公益財団法人サントリー生命科学財団, 生物有機科学研究所・統合生体分子機能研究部, 研究員 (70710747)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | カタユウレイボヤ / 卵巣ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、カタユウレイボヤの卵巣から新規に同定したペプチドホルモンCiDR1について、卵胞成長における機能を明らかにする事を目的としている。 2023年度は研究計画に従い、予測精度を向上させた予測器を用いてCiDR1の受容体を予測し、一つの候補遺伝子を得た。また、CiDR1に対する特異的な抗体を作製し、その抗CiDR1抗体を用いた免疫染色の結果から、Stage II卵胞のテスト細胞特異的に発現することを明らかにした。この結果はin situ hybridizationによる局在解析の結果と一致していた。また、免疫電顕解析の結果から、Stage II卵胞のテスト細胞のシグナルは分泌顆粒内に見られ、CiDR1が分泌されてパラクラインもしくはオートクラインに作用することが強く示唆された。In vivo機能解析については、計画通りCiDR1に特異的なCRISPR RNAを設計し、導入した幼生個体を用いた配列解析によって高効率でCiDR1に変異を導入できることがわかった。そのCRISPR RNAをマイクロインジェクションした卵を用いてゲノム編集体を作製し、変異が導入されたF1およびF2世代の個体を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は計画通り、予測精度向上させた予測器を用いて受容体遺伝子の再予測を行った。また、CiDR1に特異的な抗体を作製して免疫染色を行い、in situ hybridizationの卵巣内局在を再現できただけではなく、免疫電顕解析によって分泌顆粒における局在を同定できた。さらに計画に先行してゲノム編集体の作製も順調に進行しているため、(2)のおおむね順調に進展している、の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度はまず、CiDR1のゲノム編集体のヘテロ変異体同士を掛け合わせてホモ変異体を作製し、その表現型解析を行う。具体的には、CiDR1の発現が上昇する幼生期以降の幼若体期―微小成体期における各器官の形成における異常を調査する。成体まで異状なく成長が進行する場合は卵巣形成(卵巣サイズ、卵の成長段階、数など)に着目して表現型解析を行う。遺伝子欠損解析で期待した結果が得られない場合に備えて、CiDR1の強制発現体の作製にも着手する。具体的には、ホヤの全身の組織に発現する遺伝子プロモーターの下流にCiDR1のORFつないだ導入遺伝子を設計する。トランスポゼースとともにマイクロインジェクションを行い、強制発現体を作製する。蛍光標識を用いた個体識別と、幼若体期を用いたCiDR1発現の上昇などを確認し、ゲノム編集体と同様の表現型解析を行うことでCiDR1の機能解明を目指す。
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