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2022 Fiscal Year Research-status Report

Analysis of the effects of environmental chemicals on amphibian behavior and gene expression.

Research Project

Project/Area Number 22K06312
Research InstitutionShizuoka University

Principal Investigator

石原 顕紀  静岡大学, 理学部, 准教授 (70432193)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2026-03-31
Keywords遺伝子発現 / 行動実験 / 環境化学物質
Outline of Annual Research Achievements

本研究の実施内容は、化学物質が撹乱する甲状腺ホルモン応答遺伝子の探索、化学物質がそれらの遺伝子発現におよぼす影響の検討、化学物質が両生類幼生の行動におよぼす影響を検討する実験系の確立と実施、化学物質が遺伝子発現制御におよぼす影響のエピジェネティックな解析、である。
初年度の計画は、遺伝子探索、遺伝子発現におよぼす化学物質の影響の検討、行動実験系の確立、であった。そこで初年度は、候補遺伝子として甲状腺ホルモン受容体や発達障害に関与すると言われているCHD8など複数の遺伝子発現におよぼす化学物質の影響を検討し、個体レベルでの阻害作用、活性化作用を見出した。行動実験系については、シングルボードコンピュータであるラズベリーパイとアクションカメラGoPROを用いた行動実験系を確立し、陽性コントロールとしてバルプロ酸の影響を検討した。行動実験では、社会性を検証することを目的として系を確立したが、バルプロ酸を処理した群では対照群と比較して有意に社会性が低下した。このことから確立した実験系が発達障害様の行動を検討するのに適したものであることが実証された。
今後はこの行動実験系を用いて、様々な化学物質が行動におよぼす影響を検討するとともに、遺伝子発現撹乱の再確認、および発現制御におよぼす影響のエピジェネティックな解析を進めていく予定である。したがって当初の計画のとおりに進捗していると言える。
関連論文として、2022-2023年に2報の学術論文を公開し、同時に国内の学会で成果発表を行った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

初年度の計画では、in Silico解析による、甲状腺ホルモンによって発現が変動する発達障害関連遺伝子の探索、環境化学物質がそれらの遺伝子発現におよぼす影響の検討、発達障害様の行動を検証する新規両生類行動実験系の確立、であった。
in Silico解析による、甲状腺ホルモンによって発現が変動する発達障害関連遺伝子の探索では、当研究室のこれまでの実績と哺乳類等で得られている知見から、甲状腺ホルモン受容体や、Chd8、オキシトシン受容体などの遺伝子を候補として選択した。
それらの遺伝子発現におよぼす甲状腺ホルモンの影響、および甲状腺ホルモンによる発現変動におよぼす環境化学物質の影響を検討した。甲状腺ホルモン受容体の発現は甲状腺ホルモンによって増加することが知られているが、用いた環境化学物質のうち臭素化ビスフェノールAは抗甲状腺ホルモン様作用を示し、イオキシニルはホルモンによる発現増加の増強作用を示した。これは従来知られていた作用とは反するもので非常に新規性が高い結果となった。
両生類は発達障害様の症状を検討するのに適したモデル系であるが、実験系としての行動実験が確立されていなかった。そこで初年度に、この実験系を確立することを目的の一つとしていた。静穏な環境下での実験を実現するため、シングルボードコンピュータであるラズベリーパイと、それによって制御可能なアクションカメラGoPROを用意し、ネットワーク上からSSH接続・Pythonプログラムを実行することで、両生類幼生に近づくことなく行動を検証可能な実験系を確立した。これを用いて抗てんかん薬であるバルプロ酸の影響を検討したところ、処理群で有意な社会性の低下が見られ、行動実験系の有用性が確認できた。

Strategy for Future Research Activity

現在までの進捗状況で述べたとおり、当初計画に則って研究は推移しているため、今後も計画通りに遂行する予定である。
すなわち2年目以降は、遺伝子発現におよぼす影響の検討、行動におよぼす影響の検討を継続するとともに、発現制御の解析に移行していく。具体的には、ヒストン修飾やDNAメチル化など、エピジェネティックな変化を標的遺伝子周辺領域で検討していく。

Causes of Carryover

当初予算で見込んでいた行動実験、および遺伝子発現解析に必要な機器・試薬類が予定よりも増額したが、購入予定としていた蒸留水製造装置(65万円として予算計上していた)の購入を取りやめた。この理由は、実験として用いる蒸留水について、製造装置を機器として購入するよりも、蒸留水自体を購入したほうがコスト的に効率が良いと判断したためである。
機器類として購入したものの多くは、行動実験に用いるカメラ(GoPRO)やそれのマウンタなどであり、コストを下げるため中古品等を購入した。
上記理由により、取りやめた蒸留水製造装置の分、経費が余剰となったが、消耗品類で過剰となり、差し引きとして390308円が次年度繰越分となった。

  • Research Products

    (3 results)

All 2023 2022

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Adult male Xenopus laevis can tolerate months of fasting by catabolizing carbohydrates and lipids2023

    • Author(s)
      Nakajima Ami、Yamaguchi Ryo、Sasazaki Maya、Ishihara Akinori、Yamauchi Kiyoshi
    • Journal Title

      Journal of Comparative Physiology B

      Volume: 193 Pages: 227~238

    • DOI

      10.1007/s00360-023-01478-5

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] A prototype of the mammalian sulfotransferase 1 (SULT1) family in Xenopus laevis: Characterization of a biased usage of SULT1 genes located in the S-subgenome2022

    • Author(s)
      Sato Kosuke、Ishihara Akinori、Yamauchi Kiyoshi
    • Journal Title

      Gene

      Volume: 830 Pages: 146495~146495

    • DOI

      10.1016/j.gene.2022.146495

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] ウシガエル硫酸基転移酵素の系統解析と発現解析2022

    • Author(s)
      佐藤晃輔、石原顕紀、山内清志
    • Organizer
      日本動物学会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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