2022 Fiscal Year Research-status Report
ミツバチのナビゲーション行動を成熟させる神経メカニズムの解明
Project/Area Number |
22K06314
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岡田 龍一 神戸大学, 理学研究科, 学術研究員 (20423006)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ナビゲーション / 偏光視 / 脳 / 記憶・学習 / ミツバチ |
Outline of Annual Research Achievements |
動物が目的地へ移動するナビゲーション行動は経験によって行動が洗練される。よって、ナビゲーションの神経基盤には可塑性があると考えられるが、現在はどこがどのように変化して行動が洗練されていくのかは未解明な点が多い。本研究ではナビゲーションの中枢である脳の中心複合体という領域に着目して、ナビゲーションしているミツバチの中心複合体ニューロンの神経活動を記録する。神経活動、記録部位、飛行方向の精度、個体のナビゲーションの成熟度を包括的に解析して、ナビゲーションの成熟に関わる脳メカニズムを明らかにし、その神経モデルを提出することを目的とする。 今年度は、ミツバチの行動経験を定量化できるように、採餌行動のモニタリング可能な観察巣箱を製作した。観察巣箱は2枚の巣板が縦に挿入できるようになっており、この巣箱で女王のいるおよそ2000匹の働きバチからなるコロニーを飼育した。観察巣箱は室内に設置し、屋外につながる通路の下面には2箇所にミツバチの出入りをモニタできるようにセンサーを設置した。ミツバチに個体識別用の小型のRFIDタグを取り付け、通路下のセンサーを通過すると通過した個体IDと通過時刻が自動でロギングされるようになっている。この観察系の精度を確かめるために、実際のミツバチの出入りをビデオ撮影して解析し、センサーでのロギング記録と照合した結果、97%以上の精度でミツバチの出入りをモニタできた。つまり、この観察系を用いて信頼度高く個体レベルでの採餌経験を定量化できることがわかった。 今後はこの巣箱でミツバチの採餌行動をモニタリングしながら、採餌行動の成熟度と神経活動との相関を解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次年度での研究に十分活かされる実験系を確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
作製した巣箱でミツバチの採餌行動をモニタリングしながら、出巣するミツバチを捕獲して、フライトシミュレータ内でナビゲーションしているミツバチの中心複合体ニューロンの神経活動を記録する予定である。
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Causes of Carryover |
観察巣箱の精度の評価に時間がかかって評価終了が晩秋になってしまった。そのため、状態のよいミツバチが入手しずらくなり、予定していた神経生理実験の一部が予定よりも進まなかったため。ただ、神経生理実験の準備は十分にできたので翌年度は進まなかった分を含めて実施する。
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Research Products
(6 results)