2022 Fiscal Year Research-status Report
Analyses of the genetic basis for domestication using inbred strains of Xenopus tropicalis
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22K06318
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鈴木 誠 広島大学, 両生類研究センター, 助教 (10533193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻野 肇 広島大学, 両生類研究センター, 教授 (10273856)
井川 武 広島大学, 両生類研究センター, 准教授 (00507197)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 従順性 / ネッタイツメガエル / 家畜化 / 近交系 / QTL |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、動物家畜化にも関わる従順性の普遍原理を理解することを目的とし、ネッタイツメガエル近交系で見いだされたストレス応答行動とその関連形質の系統間差の分子基盤を行動生理・遺伝学解析によって解明することを目指している。 本年度は第一に、ネッタイツメガエルのストレス応答を定量的に評価するために生理学的手法の確立を目指した。当初はストレス刺激後に心臓から採取した血液からのストレスホルモン測定を試みた。しかし採取量が安定せず採取操作による個体への影響も懸念されたことから、スワブサンプリングにより採取した皮膚分泌物の測定へと計画を変更し引き続き条件検討を進めた。ストレス応答行動の系統間差への関与が示唆される遺伝子の一塩基多型の意義については、コードするタンパク質のドメイン解析からアミノ酸置換が膜貫通領域の末端近傍にあることを明らかにした。 第二に、系統特異的な形質と関連する遺伝子座を同定するための行動解析手法の至適化とF2世代の作成を進めた。行動解析に関しては、行動差異の評価を高スループットで実施可能にするため、撮影画像データからのバックグラウンド除去およびモルフォロジー演算処理による個体輪郭の自動抽出法を開発し、加えて抽出輪郭の単純形状への近似によりストレス応答行動の定量を自動化した。F2世代を用いた解析についてはゲノムスキャン実施には至らなかったものの、性成熟していたF1世代を用いた交配により解析サンプルとして約300匹が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で当初計画したネッタイツメガエルのストレス応答の生理学解析、系統間差への関与が示唆される一塩基多型の意義解析、そして系統特異的な形質と関連する遺伝子座の同定解析について一定の進展が得られたため、おおむね順調に進展していると判断した。一方でF2世代の作成が当初計画より遅れたために今年度に計画していたゲノムスキャンは実施まで至らなかった点が課題となった。
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Strategy for Future Research Activity |
ストレスホルモン測定手法の条件検討を速やかに実施したうえで、ストレス応答の系統間差との関連を検証する。ストレス応答行動の系統間差への関与が示唆される一塩基多型の意義については、この遺伝子がコードする膜タンパク質の強制発現系での活性測定により明らかにするとともに、F2世代におけるストレス応答行動と一塩基多型との関連性を解析することにより検証する。F2世代でのゲノムスキャンについては次年度の下半期での実施を計画している。
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Causes of Carryover |
当初計画に遅れが生じたことから、主に消耗品費と受託サービスに関する経費が軽微で済み次年度使用額が生じた。次年度の研究実施で必要となる試薬類と受託サービス利用経費に充てる計画である。
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