2023 Fiscal Year Research-status Report
NAD+による概日リズム回復と老化抑制の関連性解明
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22K06320
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中畑 泰和 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (50390810)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樽見 航 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (40714895)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 概日時計 / 細胞老化 / NAD+ |
Outline of Annual Research Achievements |
老齢個体からの老化細胞除去が老化関連疾患発症の遅延、ひいては寿命延長を可能にすることが報告されて以来、老化細胞を特異的に除去するsenolytic薬と呼ばれる老化細胞除去薬の発見・開発がアンチエイジング研究のひとつの大きな潮流となってきている。その一方で、老化進行抑制を目的としたNAD+ブーストによる老化プロセス制御の研究も近年盛んに行われている。代表者らは、NAD+ブーストが概日時計の老化をも制御し、NAD+ブーストによる概日時計老化の回復が臓器老化、ひいては個体老化の回復の鍵になると考えて研究を進めている。これまでに、ヒト胎児由来正常初代線維芽細胞TIG-3細胞を用いて、細胞老化により概日時計遺伝子発現リズムの減弱および位相後退を含む周期延長が惹起されること、NAD+ブーストによりそれらが改善されることを明らかにしてきた。この分子機序としてすでにSIRT1と呼ばれるNAD+依存性酵素が周期的概日時計発現の振幅を制御していることを報告しているが、 今年度、異なるNAD+依存性酵素も関与すること、さらに興味深いことに、この酵素が関与する概日時計特性は、SIRT1とは異なる概日時計特性を制御することを見出した。さらにその酵素のターゲットと思われる時計分子の同定およびその分子への作用機序の一端も見出している。今後は、この酵素による時計機構の制御メカニズムの詳細解明および、マウス個体を用いた検証、確認も行い、ヒトへの応用の可能性を示す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たな概日時計老化に関与するNAD+依存性酵素の同定およびその酵素の標的時計分子の同定・作用機序の一端を解明したため
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、NAD+依存性酵素およびその標的時計分子による概日時計制御メカニズムの解明に努める。さらに、老齢マウスを用いて個体レベルでも確認する。
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Causes of Carryover |
予定通り研究を遂行できたため、研究費の残金が非常に少額(3,734円)であった。購入に急を要する試薬等がなかったため、来年度の細胞培養実験に必要な試薬購入の一部に使用することとした。
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Research Products
(2 results)