2022 Fiscal Year Research-status Report
コウモリの反響定位能進化に関わる伝音・感音機能の比較発生学的解析
Project/Area Number |
22K06337
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
古寺 敏子 順天堂大学, 医学部, 非常勤講師 (90822809)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武智 正樹 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (10455355) [Withdrawn]
小薮 大輔 筑波大学, プレシジョン・メディスン開発研究センター, 准教授 (60712510)
伊藤 哲史 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (90334812)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 形態形成 / 反響定位 / 進化生物学 / 比較発生学 |
Outline of Annual Research Achievements |
反響定位(エコロケーション)を行うコウモリ類は超音波受信により対象物の位置情報や周囲環境の三次元形状情報を得ている。 本研究の目的は、コウモリが反響定位能を進化の過程でどのように獲得したかを、聴覚器形態と聴覚伝達路の双方から考察することである。 反響定位能を持つコウモリでは、茎状舌骨が鼓室輪に直接繋がっており、哺乳類本来の骨結合様式を大きく逸脱している。先行研究によりマウスでは鼓室輪と茎状舌骨はそれぞれ第1, 2鰓弓由来であり、それらの形態要素は内外の位置関係を構築していることがわかっている。茎状舌骨が鼓室輪に繋がるキクガシラコウモリの胎児の第1、2鰓弓の境界を可視化することで、それらの位置関係をマウスと比較し、超音波受信との関係を考察する。また反響定位をしないフルーツバットについても同様の比較を行う。そのためにキクガシラコウモリの第2鰓弓マーカーであるHoxa2のin situ ハイブリダイゼーションのためのプライマーの設計を行った。また今後必要となる可能性のある遺伝子のプローブの作成も予定している。フルーツバット胎児は2023年初頭に入手したのでこちらも同様にin situハイブリダイゼーションのためのプライマー、プローブの作成を行う。 コウモリの内耳領域のトランスクリプトーム比較解析のためのサンプル調整は研究分担者が始めている。 内耳での周波数に対応した神経細胞配列(トノトピー)の相違を検討する実験はコウモリ等のサンプルの確保が不十分だったので2023年度から行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2022年度に所属機関を移動した後、実験環境を整える時間が予想よりさらにかかってしまった。オオコウモリの胎児及び比較する哺乳類胎児のサンプルが十分に入手できなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
反響定位能を持つコウモリ、行わないコウモリ及びマウス胎児の第1, 2鰓弓の境界を明らかにする。(マウス胎児においては先行研究により、その境界が確認済みである。) コウモリ類の内耳領域トランスクリプトーム比較解析を行う。 本年度はコウモリのサンプリングを計画的に行い、内耳での周波数に対応した神経細胞配列(トノトピー)の相違を、コウモリ類及び哺乳類胎児の蝸牛神経核における神経細胞の発生タイミングや聴覚伝達路に発現するNeurog1の発現パターンから解析する。 また外側毛帯腹側核においてGABAニューロン(GAD67抗体)やグリシンニューロンの分子マーカー(GLYT2抗体)の神経発生時の局在を確かめる。
|
Causes of Carryover |
2022年度に所属機関を移動した後、実験環境を整える時間が予想よりさらにかかったため、実験が遅れた。また実験に供するサンプルの取得が十分にできなかった。 サンプル作成、in situハイブリダイゼーション及び免疫組織化学染色をするための試薬、器具類に使用する。 内耳領域トランスクリプトーム比較解析のための費用として使用する。
|