2023 Fiscal Year Research-status Report
昼咲き種と夜咲き種における花時計遺伝子の比較と光の影響の解明
Project/Area Number |
22K06363
|
Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
新田 梢 麻布大学, 生命・環境科学部, 助教 (60589448)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 開花時間 / 概日リズム / 生物時計 / 時間生物学 / 光受容 / ゲノミクス / トランスクリプトーム / Hemerocallis |
Outline of Annual Research Achievements |
花を訪れた虫が花粉を運ぶため、花の開花時間は、繁殖や生殖隔離に影響を及ぼす重要な形質である。ワスレグサ(キスゲ)属の近縁種、ハマカンゾウとキスゲの花は、対照的な開花時間である。ハマカンゾウは朝に開花し、夕方に閉花する昼咲きの花で、昼行性のアゲハチョウ類に送粉される。一方で、キスゲは夕方に開花して翌朝に閉花する夜咲きの花で、夜行性のスズメガ類に送粉される。 生命現象が概日リズムに支配されている場合、恒常条件下におくと、周期がずれていくことが多くの生物で知られており、特に光の刺激が24時間の周期を調節していることが多くの生物で明らかになっている。キスゲとハマカンゾウで、開花・閉花が概日リズムによって支配されているか、光条件の違いによって開花時間のリズムに影響があるのかは明らかになっていない。よって、光条件の違いによって、キスゲとハマカンゾウの開花時刻・閉花時刻にどのような違いがあるのかを明らかにすることを目的として栽培実験を行った。 麻布大学敷地内で育成した、キスゲとハマカンゾウの鉢植えを、6時から18時まで光を照射し、18時から翌朝6時まで12時間光を照射しない明暗(LD)条件と、連続で光を照射し続ける恒明(LL)条件の2つのグロースキャビネットで栽培した。グロースキャビネット内の各蕾の上部に赤外線センサーカメラを設置し、15分のインターバルで撮影した。写真から開花開始時刻、開花完了時刻、閉花開始時刻、閉花完了時刻の4ステージを判定してデータ解析を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度に花が準備できずに実験できなかったキスゲについて、2023年度は光条件による開花時間の実験を実施でき、データをまとめて、学会発表も達成できた。当初の計画より遺伝子の解析がやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
データ解析をすすめ、開花時間の変化に関してまとめる。時計遺伝子の探索と遺伝子解析をすすめ、成果を発表する。
|
Causes of Carryover |
当初の予定より実験室や材料の整備が遅れ、実験や遺伝子解析が遅れたため、次年度使用額が生じた。植物栽培実験や遺伝子実験用の機器や試薬の購入、学会発表、論文作成などに使用する予定である。
|