2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K06375
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
榮村 奈緒子 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 助教 (10762114)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 種子散布 / 一塩基多型 / 果実二型 / 海岸植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
海岸性の常緑低木であるクサトベラScaevola taccadaには、海流散布能力を持つ「コルク型」と持たない「果肉型」の果実二型があり、砂浜集団では前者、海崖集団では後者の出現頻度が高いことがわかっている。申請者らはクサトベラの二型の分子基盤、遺伝様式、生態的特性を総合的に調べることで、海岸から内陸へのハビタットシフトにともなう種子植物の進化プロセスを理解したいと考えている。当該年度は、以下の調査および実験を行った。 9月に沖縄本島の海岸4カ所へ行き、各果実型の7個体から、1個体あたり33~60個の果実を採集した(合計:コルク型245個、果肉型286個)。このうち、約半分の種子について発芽試験を行い、二型の発芽状況を比較した。先行研究を参考にして(Yang & Kuo 2018)、種子を水分に含んだミズゴケとともにジップロックに入れて、明期8時間・30℃、暗期16時間・20℃の条件下のインキュベーターに安置した。これらの種子を1週間に1回、発芽状況を目視で確認した。その結果、両型の種子は1カ月後以降に発芽を開始したが、コルク型の方が果肉型よりも先に発芽する傾向がみられ、両型の種子発芽特性が異なる可能性が示唆された。 昨年度作成したSNP(一塩基多型)マーカーの適合率を検証するために、果実型が判明している葉の採集、DNA抽出を進めた。今のところ、少数サンプルでしか検証していないが、判 別できていた。 3月に行われた日本生態学会の自由集会で、本研究に関する内容の発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
育児・家事と大学の職務で、自身の研究を行う時間があまり作れなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
・昨年度作成したSNP(一塩基多型)マーカーの適合率の検証を進める。 ・発芽試験は昨年度採集した残りの種子についても行う。また、4個体しか採集していないので、個体数を増やして試験する。 ・発芽実験で発芽した実生を用いて、開発したSNPマーカーから二型の判別を行い、二型の遺伝様式を明らかにする。また、塩耐性について二型間で比較を行う。
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Causes of Carryover |
育児・家事と大学の職務で、自身の研究を行う時間があまり作れなかった。 今年度もサンプル採集のために野外調査へ行く。また、解析のために必要なパソコン、分子実験に必要な器具や薬品を購入予定である。
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