2023 Fiscal Year Research-status Report
四肢骨格筋の獲得に寄与したミオシン重鎖遺伝子群の分子進化
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22K06376
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
田村 啓 北里大学, 理学部, 講師 (50458767)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 陸上進出 / 骨格筋ミオシン / 両生類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,脊椎動物の進化過程における陸上進出に関与する四肢の形成,特に骨格筋に関わるミオシン重鎖(myosin heavy chain, myh)遺伝子の分子進化機構の解明を目的としている。これまでの解析から,脊椎動物のmyh遺伝子は,広く保存されているmyh遺伝子群(従来型)に加えて,両生類およびハイギョに保存されている新規型 myh 遺伝子群があることが分かっている。この新規型myh遺伝子群は,ハイギョと四足動物の共通祖先で獲得し,ハイギョと両生類では保存されている一方で,有羊膜類では消失している。そこで2023年度は,無尾両生類のネッタイツメガエル(Xenopus tropicalis), アフリカツメガエル(Xenopus laevis)および有尾両生類のメキシコサンショウウオ(Ambystoma mexicanum),イベリアトゲイモリ(Pleurodeles waltl)の初期胚における骨格筋myh遺伝子の発現解析を行った。その結果,解析を行った全ての生物種において,初期胚で新規型myh遺伝子群が主に発現していた。さらに,ツメガエルにおいては,変態最盛期に従来型myh遺伝子群に切り替わることが分かった。これらのことから,両生類の初期発生において,新規型myh遺伝子群が重要な役割を担っていることが示唆された。現在,ネッタイツメガエルにおいて新規型myh遺伝子をノックアウトした個体の作製に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
両生類およびハイギョのmyh遺伝子の発現解析については,おおむね順調に進んでいるが,研究計画にあった発現制御領域の同定には至っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
発現制御領域の同定には至っていないが,ネッタイツメガエルにおいて発現の高い myh 遺伝子をCRISPR/Cas9システムを用いて,ノックアウトした個体の作製を行い,その表現型を解析する。
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Causes of Carryover |
予定していた消耗品費が抑えられたため。残高は,次年度の消耗品費および受託研究費に充てる。
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