2023 Fiscal Year Research-status Report
異なる生殖システムから見た種分化駆動力としての性選択
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22K06383
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木村 一貴 東北大学, 東北アジア研究センター, 助教 (20743991)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 雌雄同体 / 種分化 / 性選択 / 軟体動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
適した時期にフィールドワークを行うことができ、かつ数人の標本提供協力者を得られたおかげで、4つの対象陸産貝類系統の内第2・3・4系統の数種類について室内での実験に十分な数の個体を集めることができた。これらの採集できた分類群について行動実験も問題なく行えた。昨年度のデータに追加して解析したところ、傾向は変わらず、傷害をともなう交尾様式の存在が交尾ペアの形成パターンに影響を及ぼすというのは第1・2・3系統において共通してみられるパターンであることが推察された。また、本年度得られた種類に対してDNA解析も並行して行った。第2系統については昨年度作成したプライマーセットを用いて、ある程度のDNAデータを取得できたが、想定よりも遺伝的に多様化している系統であることが判明し、追加の遺伝子領域からデータを取得する必要があると考えられる。第3・4系統の採集した種については続く系統解析に十分なDNAデータが得られた。来年度に残りの使用予定種に対してDNA解析を行えば包括的な解析が可能になると考えている。 本年度中にDNA解析を行った分類群の一部では隠蔽種が包含されていることが副産物的試験として得られた。この分類学的認識の更新は保全生態学上重要であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
第2系統が想定よりも遺伝的に多様化している系統であることが判明し、必要となったDNAデータの追加分だけ遅れている。そのために使用できるプライマーセットの候補は既に発見できているので2024年度内に遅れを取り戻すことは可能だと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定よりやや遅れているとはいえ、手法面での問題点が存在するとは思われないため、2022・2023年度と同様に適切な時期にフィールドワーク・行動実験・DNA解析を行っていく。対象は特に第3・4系統に力を注ぐ予定である。
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Causes of Carryover |
2022年度に行えなかった分のフィールドワークが一部残っているために次年度使用額が生じた。2024年度には当該年度分のものに加えて、その残りのフィールドワークを行い、行動実験用の標本を採集する予定である。
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