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2022 Fiscal Year Research-status Report

花のUVA反射が送粉者の花選択に与える影響と、送粉者の色覚が植物群集に及ぼす効果

Research Project

Project/Area Number 22K06400
Research InstitutionUniversity of Toyama

Principal Investigator

石井 博  富山大学, 学術研究部理学系, 教授 (90463885)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2026-03-31
Keywords送粉生態学 / 花 / 紫外線 / ハナバチ / ハエ / 色覚
Outline of Annual Research Achievements

主要な訪花者グループであるハナバチ類とハエ目に対する誘引に、UVA反射の有無がどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることを目的に、中部山岳国立公園立山の室堂平(標高2400 m付近)と、上信越高原国立公園菅平高原のダボススキー場(標高1450 m付近)で、捕虫トラップ(パントラップ)を用いた野外実験を行った。
パントラップで捕獲された昆虫を、捕獲数に応じて大まかに5つの分類群(短角亜目・糸角亜目・ハナバチ類・ワスプ類・その他)にわけて解析したところ、分類群ごとに捕獲されやすい背景色に違いが見られた。例えば短角亜目は、いずれの調査地/調査年でも、W-(UVAを反射しない白)で最も多く捕獲され、W+(UVAを反射する白)やB+(UVAを反射する青)での捕獲数は少なかった。短角亜目を、さらに科レベルに分類して解析したところ、ほぼすべての科で、W+よりもW-で捕獲される傾向が存在していた。この結果は、W+よりもW-に誘引されるという性質が、短角亜目の科をまたいで、広く共通した性質であることを示している。短角亜目のこのような性質はこれまで報告されたことはなく、本研究が初めて示した成果である。一方、ハナバチ類には、Y-よりもY+で多く捕獲される傾向があったが、W+とW-の間では捕獲数に一貫した違いは見られなかった。
この結果は、UVA反射の有無が誘引に及ぼす効果が、可視光域の反射スペクトル(可視光域の色)や、誘引される昆虫の分類群によって異なるという知見をもたらすものであった。
一方、本プロジェクトでは、花のUVA反射や、それによって描かれた模様が、どのような植物種にどのくらいの頻度で存在しているのかについて、一般的な傾向を把握するために、花の可視光写真と紫外線写真の撮影も行っている。現時点で約150種の花の撮影を完遂しており、そこからパターンの抽出を行っているところである。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究は、花にくる昆虫を調査すものであるので、天候によって調査の可否が左右される。しかし、2022年の初夏から晩夏は、北信越地方は10年に一度といって差し支えないほどの天候不順であったため、何度も野外調査の機会が失われた。たとえば、研究代表者が5年以上にわたって主要な調査地の1つとしている菅平高原は、中央高原に位置しているため本来の晴天率は高いはずだが、それぞれ2泊~3泊で臨んだ計5回の調査のほぼすべての回で雨が降り、予定していた調査の一部しか遂行できなかった。これは、菅平高原では研究代表者が過去5年の間に1,2度しか雨にあたっていないことを考えると、異常なほどの雨天率であったと言える。もう一つの主要な調査地である北アルプスも、登山愛好家らの間で頻繁に話題に上がったように、2022年度は異様に晴天率が悪く、何度も調査の中断を余儀なくされた。このため、当初予定していた計画に比べると、やや進捗が遅れてしまっている。

Strategy for Future Research Activity

今年度も昨年度に引き続き、パントラップによる捕獲実験、多種多様な花の可視光写真と紫外線写真の撮影、UVA反射のパターンが異なる花を利用する送粉者の比較、群集間の花色組成の比較を行う。これらに加え、粘着トラップを用いた実験や色ディスクと人工花を用いた屋内実験を追加して行う予定である。

Causes of Carryover

「現在までの進捗状況」の欄に記載した通り、2022年度の北信越地方は10年に一度といって差し支えないほどの天候不順であったため、何度も野外調査の機会が失われた。このため、当初の計画にくらべ、調査旅費や調査消耗品費が少なくなった。2023年度以降は、この遅れを取り戻すため、人手を増やして調査を行う予定であり、繰り越した予算は、この旅費や人件費に用いたいと考えている。

  • Research Products

    (5 results)

All 2022

All Presentation (5 results)

  • [Presentation] UVA反射がハエ目とハチ目訪花者の色選好性に与える影響:パントラップを用いた実験2022

    • Author(s)
      大杉嗣弘・石井博・丑丸敦・辻本翔平
    • Organizer
      日本生態学会
  • [Presentation] 生育環境や生活型が異なる植物種間の、花形質(花色・花形態)の比較2022

    • Author(s)
      奥沢光稀・石井博
    • Organizer
      日本生態学会
  • [Presentation] 送粉者相の違いが開花密度-繁殖成功関係にもたらす影響2022

    • Author(s)
      佐藤秋周・中田泰地・川上風馬・村上渚・朝田愛理・増田祐季・大谷素司・白鳥裕太郎・石井博・丑丸敦史
    • Organizer
      日本生態学会
  • [Presentation] スキー場草地での植生再生過程における送粉ネットワーク構造・植物の繁殖成功の変化2022

    • Author(s)
      平山楽・田中健太・石井博・丑丸敦史
    • Organizer
      日本生態学会
  • [Presentation] ジェネラリスト送粉者は、個体レベルではスペシャリストであるのか?2022

    • Author(s)
      瀬尾・丑丸・石井
    • Organizer
      日本生態学会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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