2023 Fiscal Year Research-status Report
日内リズムを整えるように光刺激を制御した照明の日常生活を想定した有効性の検証
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22K06422
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
福田 裕美 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (50551412)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | スマートフォン / 視線 / 屋外照明 / 概日リズム / 光環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、実際の夜間の室内照明や、スマートフォンなどの液晶ディスプレイの利用によって暴露される光の実態を把握し、日内リズムを整えるように計画された照明の有効性の検証を日常生活での健常者および病院や介護施設等で行動制限のある人々を対象に行うことを目的としている。 2022年度から引き続き、社会状況(covid-19)を考慮して病院や高齢者施設での調査は行わないこととした。2022年度に室内照明とスマートフォンの利用状況について大学生を対象に実態調査および実験を行ったことを踏まえ、2023年度は夜間の屋外照明とスマートフォンの利用状況について実態調査と実験を行った。屋外照明は、屋内照明と同様に、ヒトの概日リズムへ影響をおよぼしているとともに、自然環境で生息する動植物へも影響をおよぼしているため、その計画は多くの生態にとって重要な意味をもつ。 夜間、歩行時にスマートフォンを利用する(いわゆる歩きスマホ)世代は20代の若者に多いことから、大学生男女80名を対象に歩行中のスマートフォンの利用の有無や利用目的、屋外照明への関心度などについてアンケート調査を実施した。また、福岡県北九州市の駅前3か所において夜間歩行中のスマートフォン利用状況を観察した。また、アンケート結果より、一般的な街灯よりも装飾性のある照明の方が目を向けやすいことが考えられたため、装飾性のある足元灯を作成し、一般的な街灯と装飾性のある足元灯で歩きスマホ中の視線にどのように違いがあるか視線追跡装置を用いて計測した。足元灯で計画したのは、ヒトの光受容器への光刺激量の到達が街灯よりも小さくなると考えられるためである。詳細なデータ分析は2024年度に行う予定だが、装飾性の高い足元灯は一般的な街灯よりも歩行者の視線を集めやすく、概日リズムへの影響を抑えつつ歩きスマホの抑制や歩行中の安全性を高める可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた病院や介護施設での調査や実験は行わなかったが、代わりに大学生を対象とするアンケート調査、日没後の屋外観察調査、夜間照明を用いた実験を充実させた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に実施した視線解析や、アンケート調査、観察調査のデータ分析を詳細に行う。また、研究期間の最終年度と予定しているため、研究成果をまとめて対外発表を積極的に行う。
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Causes of Carryover |
2023年度は追加の測定機器のレンタル料が必要となったため、前倒し請求を行っており、当初の年度予算よりも支出している。次年度使用額は少額であり、2024年度の研究計画に大きな変更はなく必要経費にあてる予定である。
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