2022 Fiscal Year Research-status Report
生後発達期におけるシナプス形成の動態とその制御機構の解析
Project/Area Number |
22K06427
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐藤 大祐 新潟大学, 脳研究所, 助教 (00785735)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | シナプス |
Outline of Annual Research Achievements |
シナプス形成機構を明らかにするためには、関連する個々のタンパク質を可視化し、その挙動を観察することが重要である。本研究では特にポストシナプスに着目し、シナプス形成機構の研究を遂行している。脳内のニューロンは多様で大脳皮質の同じ層にある錐体細胞でさえ投射先などを含め不均一なので、シナプス形成機構を研究する上でなるべく似た細胞を対象にした方が再現性の高い結果が得られることが想定される。経路選択的に細胞を標識すればより均一な細胞集団を研究対象にできると考え、逆行性に感染するアデノ随伴ウイルスを用いることで特定の投射経路の細胞のみを標識する実験系を着想した。 本年度はアデノ随伴ウイルスを利用した標識法の開発を行なった。まず、内在性のタンパク質を蛍光標識するために、生きた個体内のニューロンにおいてCRISPR-Cas9によるゲノム編集法を利用した任意のコンストラクトをゲノムにノックインする手法を確立した。一つの手法は相同組換え修復を利用した、任意のコンストラクトをゲノムにノックインするvSLENDR法である。もう一つは特定のエクソンの5’側と3’側の非翻訳領域で切断し、非相同末端再結合を利用して任意のコンストラクトをそこに挿入するTKIT法である。vSLENDR法やTKIT法のAAVコンストラクトを作製し、そのアデノ随伴ウイルスをCas9を恒常的に発現するマウスに微量注入すると、いずれの手法でも対象とする遺伝子座が操作され、内在のタンパク質のN末端もしくはC末端に蛍光タンパク質を挿入することができた。それぞれの手法ではノックイン効率が異なり、アデノ随伴ウイルス感染細胞のうちvSLENDR法では5%程度、TKIT法では20%を超える細胞が標識できた。これらに加えて、他のマーカーを発現するアデノ随伴ウイルスも作製した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り実験が進んでいるため
|
Strategy for Future Research Activity |
開発したマーカーと異なる波長の蛍光タンパク質を組み合わせることで、細胞全体の形態を可視化しながらそれらマーカーの挙動を観察する。生後発達期の個体よりも成体の方がウイルスのインジェクションや観察などの実験上の面で簡便であるため、成体を対象とした実験をまず行う。
|
Causes of Carryover |
想定よりも少ない試行回数で結果が得られたため、消耗品の使用量を抑えることができた。次年度の動物実験等に使用する予定である。
|