2022 Fiscal Year Research-status Report
抗てんかん作用の発揮を目指したLGI1-ADAM22複合体の形成制御機構の解明
Project/Area Number |
22K06451
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
横井 紀彦 生理学研究所, 分子細胞生理研究領域, 助教 (50710969)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | てんかん / 蛋白質複合体 / リン酸化 / シナプス / PSD-95 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、およそ30%のてんかんは難治性のてんかんと言われており、新たな治療戦略の創出が求められている。脳の異常興奮がてんかんの原因の一つと考えられていることから、てんかん治療戦略の開発には脳の興奮性の制御機構の解明が重要になる。我々は、てんかん原因遺伝子産物である神経分泌蛋白質LGI1と膜蛋白質ADAM22がシナプスにおいて複合体を形成すること、そして、それら蛋白質の変異によって複合体の量が減少し、てんかんが誘引されることを報告してきた。このことから、LGI1-ADAM22複合体の量が脳の異常興奮を抑制する鍵と着想し、複合体の量を制御する分子機構を明らかにすることで、新たなてんかん治療戦略に繋がると考えた。そして、LGI1-ADAM22複合体の量を制御する分子機構として、ADAM22のリン酸化による14-3-3との複合体形成や、ADAM22を含む1.2 MDaの巨大蛋白質複合体の形成を明らかにしてきた(Yokoi et al. Cell Rep. 2021)。本研究課題ではADAM22のリン酸化機構を利用することで、マウス脳内のLGI1-ADAM22複合体の量を制御し、てんかん治療戦略につなげることを目指す。我々はこれまでに、14-3-3に対して、ADAM22のリン酸化S832とS855が結合することを見出してきた。2022年度はS855に対するリン酸化特異的抗体を作製し、マウス脳内のS855リン酸化を検出する手段を得た。さらに、ADAM22 S832とS855に対するリン酸化酵素の活性誘導化合物を培養神経細胞やマウスへ作用させて、ADAM22のリン酸化と14-3-3との結合、そして、マウスの痙攣感受性への影響について検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の進展は、ADAM22のリン酸化によるLGI1-ADAM22複合体の安定化機構とてんかん発症の関係を明らかにし、新たなてんかん治療戦略につながる可能性がある。本年度作製したADAM22 Ser855特異的抗体は、これまでに作製したSer832特異的抗体と合わせて、今後のてんかん研究に対して、重要な研究ツールとなり得る。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度はこれまでに見出したADAM22のリン酸化機構に着目し、この機構を利用することで、生体(マウス)内でのADAM22、およびLGI1-ADAM22複合体の安定化を試みる。また、ADAM22と14-3-3の複合体形成によるシナプス蛋白質複合体の形成制御機構についても検討を進める。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] 14-3-3 proteins stabilize LGI1-ADAM22 levels to prevent epilepsy in mice2022
Author(s)
Yokoi N, Fukata Y, Okatsu K, Yamagata A, Liu Y, Sanbo M, Miyazaki Y, Goto T, Hirabayashi M, Fukai S, Fukata M
Organizer
The 45th annual meeting of the Japan Neuroscience Society
Int'l Joint Research