2023 Fiscal Year Research-status Report
Functional analysis of neural stem cells in adult mouse medulla oblongata
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22K06456
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮田 清司 京都工芸繊維大学, 応用生物学系, 教授 (30243124)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 神経幹細胞 / 延髄 / 最後野 / 中心管 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、成体脳の延髄においても、神経幹細胞が存在することを発見した。そこで、「神経幹細胞が延髄の損傷修復に関与していないか?」という疑問を解明することを目的として研究を進めてきた。 2023年度、monosodium glutamate(MSG)を皮下注射することで、血液中のグルタミン酸濃度が急上昇、その結果血液脳関門を欠く延髄最後野の神経細胞がnecrosis apoptosisを起こし神経細胞密度が低下することが明らかとなった。HuC/D陽性の神経細胞密度は3日で急低下するが、約1か月後に回復していた。一方、Sox2陽性の神経細胞やMath1陽性の神経前駆細胞は、BrdUを用いた実験よりMSG皮下注射により数週間増加していた。MSG皮下注射後、Brduを取り込ませ、1か月後にHuC/D陽性成熟神経細胞を観察すると、多くの細胞がBrdU陽性であった。 以上の結果より、延髄最後野において細胞死により減少した神経細胞は神経幹細胞や前駆細胞より新たな神経細胞が供給され再生能力があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
成体の脳には神経幹細胞は存在しないと長年考えられていたが、約20年前に海馬や側脳室下帯においてその存在が証明された。そして、神経幹細胞は海馬や側脳室下帯の機能を維持するのに必要なだけでなく、増殖が抑制されると脳疾病発症の原因になることも明らかになった。さらに、神経幹細胞は脳損傷部位へ新しい神経やグリア細胞を供給する働きもあることも明らかになっている。申請者は、成体脳の延髄においても、神経幹細胞が存在することを発見した。そこで、「神経幹細胞が延髄の損傷修復に関与していないか?」という疑問を解明することを目的とする。2023年度、MSGを用いて選択的に延髄最後野の神経細胞密度を減少させ手法を見出した。さらに、神経幹細胞や前駆細胞から新たな神経細胞が生まれることも明らかに示しており、当初の目的を十分に達成したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度、MSGを用いて選択的に延髄最後野の神経細胞密度を減少させ手法を見出した。さらに、神経幹細胞や前駆細胞から新たな神経細胞が生まれることも明らかに示している。この研究成果は、現在Neuroscience誌に投稿し高い評価を受けたが、一部追加実験を要求され改訂中である。追加実験を完遂し、Neuroscience誌への掲載を目指す予定である。
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