2023 Fiscal Year Research-status Report
受容体型チロシン脱リン酸化酵素による軸索側枝の出芽・伸長過程の制御機構の解明
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22K06458
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安村 美里 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (20533897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 真 大阪大学, 大学院連合小児発達学研究科, 教授 (10222019)
岡 雄一郎 大阪大学, 大学院連合小児発達学研究科, 講師 (30614432)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 軸索側枝形成 / 皮質脊髄路 / チロシン脱リン酸化酵素 / ヘパラン硫酸プロテオグリカン |
Outline of Annual Research Achievements |
神経回路形成のメカニズムのひとつに軸索側枝形成がある。様々な脳領域の神経細胞が軸索側枝を形成することが知られているが、中心的な役割を果たす鍵となる分子が同定されていないため、軸索側枝形成の分子機構は依然として不明な点が多い。本研究では皮質脊髄路の神経軸索が橋核に伸ばす側枝をモデルとし、軸索側枝形成を経時的に観察する方法を確立し、申請者らがこれまでの研究から軸索側枝形成の鍵分子であることを見出した 受容体型チロシン脱リン酸化酵素(RPTP)の細胞外領域に結合する軸索側枝誘導分子や、下流で働くシグナル経路を同定することで、軸索側枝形成を制御する分子機構を明らかにすることを目的としている。今年度は、昨年度に取得した皮質脊髄路の3次元画像を参考にしてスライスを切る角度やスライスの厚みを検討した。この結果を基に皮質脊髄路全体が含まれる脳スライスを生後0日齢のマウスから作製し、軸索側枝が橋核に伸びてくる様子が培養装置を備えた共焦点顕微鏡で観察可能であることを確認した。また、RPTPをノックダウンするためのshRNAベクターとドメイン欠損型のshRNA抵抗性RPTP発現ベクターを皮質脊髄路起始細胞に導入し、軸索側枝形成に与える影響を検証したところ、細胞外の分子間相互作用に関わるドメインが少なくとも軸索側枝形成には必要であることが明らかとなった。さらに、RPTPの細胞外ドメインは側枝形成時期に数種類のヘパラン硫酸プロテオグリカンと結合することも明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まだ改良の余地はあるものの、脳スライスを用いて皮質脊髄路の神経細胞から橋核に軸索側枝が伸びてくる様子が観察できるようになったため。さらに軸索側枝形成を制御するのに必要なRPTPのドメインを決定し、結合分子も同定することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
脳スライスの調子が悪くなってしまうため、軸索側枝形成の様子は現在のところまだ1日程度しか観察できず、発芽から伸長停止までの一連の現象を経時的に観察することはできていない。条件を検討することで、もう少し長期にわたり観察ができるようにし、RPTPやそのドメインが軸索側枝形成のどのステップに関与しているのかを明らかにできるようにする。また、RPTPとヘパラン硫酸プロテオグリカンの相互作用が、どのように軸索側枝形成を制御しているのかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
実験が順調に進んだため、当初の予定よりも動物購入費や試薬購入費が少なくて済んだため、次年度使用額が生じた。申請時の計画には入れていなかった新たな実験を計画しており、そのための物品購入費に充てる予定である。
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