2023 Fiscal Year Research-status Report
Targeting apolipoprotein E for Alzheimer's disease therapy.
Project/Area Number |
22K06460
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
森 隆 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60239605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
百瀬 修二 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70360344)
横尾 友隆 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (80400688)
藤原 正和 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (20312069)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / アポリポプロテインE / アミロイド前駆体蛋白 / アミロイドβ蛋白 / ペプチド / 遺伝子改変マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、アルツハイマー病の病態改善を目指した革新的ペプチド治療薬の開発である。このペプチド治療薬の開発では、アミロイド前駆体蛋白が ApoE との結合で細胞膜に輸送・蓄積され、その結果、アミロイド β 蛋白が増産される機構を標的としている。従来とは異なるこの機構を標的とした点で、独自性が高い。また、アミロイド β 蛋白そのものではなく、アミロイド β 蛋白の生産源となる細胞膜のアミロイド前駆体蛋白を減らすことに注目した点も創造的で、これまでにない次世代の治療薬の開発が期待される。 具体的には、前臨床試験として、設計したペプチド阻害剤(K-ApoE-ペプチド)をスウェーデン型アミロイド前駆体変異遺伝子(APPswe)・プレセニリン1(PS1)変異遺伝子(exon-9-deleted PS1)・ヒトアポリポプロテインEアイソフォーム遺伝子を導入した遺伝子改変マウス(アルツハイマー病マウス)に、250 μg/kgのK-ApoE-ペプチを1日1回腹腔内投与(12ヶ月齢から3ヶ月間)し、安全性と有効性(病態の改善効果)を試験した。安全性に関しては、K-ApoE-ペプチドの3ヶ月間の腹腔内投与で、一般状態の悪化、主臓器の異常所見、前臨床試験・臨床試験で報告されてきた副作用(脳内微小出血・T細胞性脳炎)は検出されていない。有効性に関しては、K-ApoE-ペプチド投与後に実施した行動・認知機能試験(新規物体認識試験・Y字迷路試験・放射状水迷路試験)にて、行動・認知機能障害の改善効果を確認した。さらに、生化学的・病理組織学的解析で、アルツハイマー様病態の脳内Aβ量の低下、脳血管アミロイド症の病態軽減効果を確認した。また、副作用が報告されてきた切断酵素(β-・α-セクレターゼ)へのK-ApoE-ペプチドの影響がない(安全である)ことも確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は、前臨床試験として実施しているアルツハイマー病マウスへの250 μg/kg(7.5 μg/マウス)のK-ApoE-ペプチを1日1回腹腔内投与(12ヶ月齢から3ヶ月間)が終了し、安全性の解析が終了している。安全性に関しては、K-ApoE-ペプチドの3ヶ月間の腹腔内投与で、死亡を含めた試験中止となる一般状態の悪化は検出されていない。主臓器(脳、肺、心臓、肝臓、脾臓、腎臓)を病理組織学的に解析し、病理組織学的異常所見を検出していない。特に、前臨床試験・臨床試験で報告されてきた副作用(脳内微小出血・T細胞性脳炎)を重点的に調べたが、K-ApoE-ペプチドを投与した何れのアルツハイマー病マウスにも検出されていない。有効性に関しては、K-ApoE-ペプチドを3ヶ月間の腹腔内投与した後に実施した行動・認知機能試験(新規物体認識試験・Y字迷路試験・放射状水迷路試験)にて、改善効果を確認した。令和5年度に実施した生化学的・病理組織学的解析で、アルツハイマー様病態の脳内Aβ量の低下、脳血管アミロイド症に対する病態軽減効果を確認した。また、過去に副作用が報告された切断酵素(β-・α-セクレターゼ)へのK-ApoE-ペプチドの影響がないこと(安全であること)も確認した。令和6年度において、確認されたアルツハイマー様病態の改善効果(有効性)に関しての分子機構の解明を進めればよい進歩状況のため、おおむね順調と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度においては、確認されたアルツハイマー様病態の改善効果(有効性)に関してのK-ApoE-ペプチドの分子機構の解明を進める。具体的には、K-ApoE-ペプチドがアミロイド前駆体蛋白の細胞内輸送の段階に作用することが予想されるため、その分子機構を重点的に解析する。このため、脳ホモジェネートの細胞膜分画によるアミロイド前駆体蛋白発現の変化・mRNA発現の変化をWestern blot・定量的RT-PCR解析する。さらにシグナル伝達など詳細な分子機構を明らかにする。このため、p44/42 mitogen-activated protein kinase(MAPK)・p38 MAPKのリン酸化に着目し、これらの経路と共にさらに上流域dual leucine-zipper kinase(DLK), a MAP kinase kinase kinaseのシグナル伝達への影響を調べる。併せて、低密度リポ蛋白受容体結合領域(ApoEの133-152アミノ酸配列)を解析し、臨床応用に向けたペプチド阻害剤の改良を行うと共に、低密度リポ蛋白受容体結合領域に対するマウスモノクローナル抗体を作製し、ペプチド療法と抗体療法の双方からの前臨床試験、さらにその先の臨床試験への足掛かりを作る。
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Causes of Carryover |
年度末支出のため、経理処理が遅延し、7,398円の残高が出てしまった。令和6年度の研究費(直接経費)と共に、物品費(試薬代)として使用する。
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Research Products
(4 results)