2022 Fiscal Year Research-status Report
大脳皮質-線条体経路特異的な光遺伝学的操作による適応行動の神経機序の解明
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22K06485
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
半田 高史 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (40567335)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 適応行動 / 皮質ー線条体経路 / 光遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
行動した結果(報酬や罰)をもとに次の行動を選択する場面における大脳皮質-基底核回路の脳領域間を結ぶ神経経路の役割を明らかにするために、この回路を構成する2つの経路(大脳皮質二次運動野-線条体経路と大脳皮質前頭眼窩野-線条体経路)が果たす役割を明らかにすることが主目的である。本研究では、二次運動野-線条体経路は報酬が得られる不確定性が低い時により貢献し、前頭眼窩野-線条体経路は不確定性が高い時に貢献すると仮説をたて、報酬獲得の不確定性が異なる条件下で、2つの神経経路が適切な行動の選択に果たす役割は何かを問う。 2022年度は二次運動野と前頭眼窩野から線条体に投射する経路にチャネルロドプシン(ChR2)を発現させるために、終止コドンカセットの下流にChR2遺伝子を持つ遺伝子改変マウス(Rosa-ChR2-EYFPマウス)の線条体背側中央部に逆行性アデノ随伴ウイルス(AAVrg-Ef1a-mCherry-IRES-Cre)を局所的に注入し、この線条体の亜領域に投射する二次運動野と前頭眼窩野の投射性神経細胞にCreリコンビナーゼを発現させ、その結果、ChR2-EYFPを発現する2領野の場所を解剖学的に確認した。 課題遂行中のマウスから神経活動を慢性的に記録するために、テトロード電極を脳内に刺入するマイクロドライブを外科的にマウス頭部に埋め込み、運動課題遂行中のマウスの一次運動野からリーチング運動関連の神経活動を電気生理学的に記録する手法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度では、行動課題遂行中のマウスの大脳皮質二次運動野と前頭眼窩野から神経活動を記録する予定であったが、大脳皮質から慢性的神経活動記録の手法を確立するにとどまり、二次運動野と前頭眼窩野からの同時記録に至っていない。解剖学的に線条体に投射する前頭眼窩野が脳表面から深く、二次運動野と同時に記録する上で技術的な改善が必要であることがわかり、現在その問題に取り組んでいるため計画よりも時間がかかってしまっている。 また、行動選択課題の訓練方法の確立ができておらず、進行中である。訓練方法確立でき次第、神経活動の記録を合わせて計画内容を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度では、解剖学的に特定した大脳皮質二次運動野と前頭眼窩野から神経活動を同時に記録する。テトロード電極の刺入角度を工夫することで両領域からの記録方法を確立する。線条体の局所領域に投射する神経細胞から記録できていることを確かめるために、テトロード電極と光ファイバーを組み合わせ、記録部位で光刺激できるように電極の埋め込み方法を改良する。 光刺激によって発火活動を示す神経細胞を特定できるように解析方法を確立する。
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Causes of Carryover |
神経活動の記録方法の確立に至らず、研究計画よりもやや遅れたため光遺伝学に係る経費が次年度使用額として生じた。次年度は、光遺伝学を実施するための光ファイバー・オプティカルシーベルを購入し、確立したマイクロドライブでの神経活動記録と組み合わせる計画である。
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