2023 Fiscal Year Research-status Report
末梢神経系における交感神経活動制御ための新たな神経回路機構
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22K06489
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
神田 浩里 兵庫医科大学, 薬学部, 助教 (80842088)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | scRNA-seq / 次世代シーケンサー / トランスクリプトミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
末梢の交感神経節は主に神経細胞やグリア細胞で構成されているが、その神経やグリア細胞には多様性があることが知られている。今年度は次世代シーケンサーを用いたSingle-Nucleus RNA-Sequence法により、正常動物において交感神経節を構成する個々の細胞レベルで発現プロファイル解析を行った。また、神経節ごと解析に用いることにより、神経細胞のみではなくグリア細胞などの全ての細胞についても同時に解析を行った。得られたデータのクオリティーコントロール後に、seurat (v5)パッケージを用いてクラスター解析を行った。データ解析の方法としては、データのフィルタリングと正規化を行い、PCA(主成分分析)を行った。その後クラスタリングを作製しUMAPによる次元削減を行い、それぞれのクラスターにおける特徴遺伝子の抽出、またはクラスターのGene ontology(GO)解析を行った。 腹腔神経節内に局在する個々の細胞は大きく13のクラスターに分類することができた。既知の各細胞種のマーカー遺伝子から、それぞれのクラスターを構成する細胞群のアノテーションをおこない、交感神経節を構成する細胞は大きく、グリア細胞、神経細胞、血管内皮細胞、線維芽細胞(resting、activated)、免疫細胞、分裂細胞、7種類の細胞群に分類することができ、割合としては、神経細胞とグリア細胞がその大半を占めていた。さらに神経細胞みを抽出し再クラスタリングを行った結果、個々の神経細胞は遺伝子発現プロファイルが異なる4つの神経細胞群に分類することができた。 今年度はsnRNA-seq法により、交感神経節に局在する個々の細胞レベルにおいて膨大な遺伝子情報を得ることができ、末梢神経内神経回路を紐解くための基盤を確立する事ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の電気生理学的解析に加え、今年度はsnRNA-seq法により遺伝子発現の分子基盤も明らかにすることができた。当初予定していた遺伝子組み換えによる感覚神経の活動制御については、プロジェクト進行の優先順位的に若干の遅れはあるものの、プロジェクト自体は当初の計画以上に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度では、前年度ので電気生理学的解析で得られたデータと遺伝子解析のデータを結び付けるため追加実験をおこない、年度内での論文投稿を予定としている。またこれまで正常動物を使用して解析を行っているため、病態との関連性についても探求する予定である。
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Causes of Carryover |
年度末に発注予定の消耗品(抗体類)の納品が間に合わなかったため、差額が生じた。 差額分については2023年度に購入予定をしていた消耗品(抗体類)を購入する予定である。
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