2022 Fiscal Year Research-status Report
A cortical recurrent input triggering somatosensory perception
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22K06492
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大石 康博 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 研究員 (20838198)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 知覚 / 反響回路 / 刺激検出課題 |
Outline of Annual Research Achievements |
数ある知覚研究の中で、知覚が生じる神経機序の解明は最も根本的な問題である。この問題を解決するためには、知覚と因果関係をもつ神経活動を突き止めなければならない。知覚の理論的研究より、知覚生成には反響入力による感覚野の活性化が関与すると提唱されている。この仮説は長らく注目されてきたが、その検証には複雑な反響回路を特異的に制御する技術の開発を待つしかなかった。申請者は、マウスが微弱な触覚刺激を給水口を舐めることで報告する触知覚検出課題を立ち上げた。さらに近年発展を遂げた光遺伝学の手法を応用することで、マウスの一次体性感覚野(S1)と二次運動野(M2)を連絡する反響入力の神経活動を制御し、その活動と知覚行動に因果関係があることを明らかにしていた。そこで、本研究は先行研究を基盤とし、知覚過程における反響入力の動態と機能を解析する。まず、電気生理学的な手法を用いて、反響入力に関わるS1およびM2領域の神経活動を明らかにする。特に、刺激を検出した試行としなかった試行においてどのような神経活動に差があるかどうかに注目する。その上で、反響入力を構成するS1→M2軸索(ボトムアップ入力)とM2→S1軸索(トップダウン入力)の活動に因果関係があることを二光子顕微鏡と光遺伝学的手法を組み合わせて検証する。最後に、トップダウン入力が、S1にある5層錐体細胞の樹状突起を活性化することで知覚が生じる可能性を検証し、反響入力による知覚生成の神経機序の解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
触知覚検出課題中の神経活動を記録するために、細胞外神経活動記録と二光子顕微鏡イメージングの確立を目指した。細胞外神経活動記録については、マウスの課題中の神経活動を記録することに成功しており順調に進行している。二光子顕微鏡イメージングでは、微細構造であるM2→S1軸索を観察しなければならないため、神経活動に伴うCa2+の上昇を観察するのに利用するカルシウムインジケーター(GCaMP)について十分に明るいものを利用する必要がある。そこで、近年開発された高い蛍光強度を示すGCaMP8s、GCaMP8mを検討し、これらがM2→S1軸索の観察に利用できることを確認できた。また、マウスの知覚課題を改変した。刺激後すぐにマウスが報告する実験系では、刺激と運動に伴う神経活動が入り混じってしまう。そこで、刺激とマウスの報告の間に1sの間を設けた行動課題を開発した。
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Strategy for Future Research Activity |
前期の研究期間において、反響回路の神経活動の記録と操作を行うための系を確立することができた(細胞外神経活動記録・二光子顕微鏡イメージング)。また刺激時の神経活動を運動から分離して記録する系を確立することができた。計画は順調に進んでおり、今後は知覚に関与する神経活動を記録を探っていく。同じ刺激強度に対して、マウスが知覚できる試行と出来ない試行では神経活動はどのような変遷をたどっていくのかの解明を試みる。
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