2023 Fiscal Year Research-status Report
Development Research on Peptide Foldamers Based on Conformationally Restricted Amino Acids
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22K06494
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡邉 瑞貴 北海道大学, 薬学研究院, 准教授 (20507173)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ペプチドミメティクス / ヘリックス / ストランド / 三次元構造制御 / フォルダマー |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内の種々の情報伝達においてタンパク質間相互作用も重要な役割を果たしている。そこで本研究では、新たな医薬開発における標的となりうるタンパク質間相互作用をコントロールできる分子の創出を目指している。合成分子でタンパク質間相互作用を制御する一つの戦略として、タンパク質相互作用面のhot-spotを形成する配列と三次元構造を同時に模倣した、多点間分子認識を可能とする機能性ペプチド(およびその等価体)の開発が有効だと考え、本研究では、細胞内タンパク質間相互作用を制御するペプチドミメティクスの新たな創出基盤の確立に取り組んでいる。そこで、最小の環構造シクロプロパンの構造特性を活用した配座制御を基軸とした分子設計によって、ペプチド主鎖の三次元構造および側鎖の空間配置の両方を 同時にコントロールしたペプチド分子を創出する。光学活性シクロプロパンδ-またはγ-アミノ酸を設計・合成し、これら特殊アミノ酸をオリゴ化することで、二次構造α-ヘリックスまたはβ-シートを高度かつ精密に模倣したペプチドとなり得るか検討した。光学活性シクロプロパンδ-アミノ酸を鍵ユニットとしたオリゴマーの設計・合成を実施し、その三次元構造をNMRなどで詳細に解析した。その結果、光学活性シクロプロパンδ-アミノ酸のオリゴマーは、わずか4残基という短鎖長でも安定なヘリカル構造を自発的にとることを確認した。溶液中および結晶中の両方で、分子設計で期待した通りの構造をしていた。また、β-ストランドをとることを期待した光学活性シクロプロパンγ-アミノ酸も設計・合成し、その結晶構造の解析に成功した。その三次元構造は、期待通りのストランド様構造をしていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続き、目的の立体化学を有した光学活性シクロプロパンδ-およびγ-アミノ酸を、不斉補助基を利用した立体選択的Grignard反応および不斉アルキル化を経て、大量合成することができた。また、合成したシクロプロパンδ-およびγ-アミノ酸のオリゴマーの合成も達成できた。合成したオリゴマーの溶液中での三次元構造を、NMRによって解析することもできた。いずれのオリゴマーにおいても、分子設計で期待した通りのヘリカル構造やストランド様構造をとっ ていることが示唆され、シクロプロパンの構造特性を基盤とした本分子設計法が、三次元構造制御ペプチドの創出に有効であることを示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに引き続き、光学活性シクロプロパンδ-およびγ-アミノ酸を合成し、これらを用いて新たなオリゴマーを合成する。合成したオリゴマーの溶液中および結晶中の三次元構造を、NMR, CD, XRDなどの測定により、実験的に明らかにし、分子設計で期待した通りの三次元構造かどうか確認することを目指す。さらに、創薬標的となるタンパク質間相互作用のホットスポットの配列および構造を模倣する機能性ペプチドの創出へと展開していく。設計・合成し、合成した分子のの薬理活性を評価する。タンパク質間相互作用を強力に阻害する分子を複数見いだすことで、本分子設計法の有用性を実証し、新たなペプチド創薬基盤として確立する。
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Causes of Carryover |
前年度までに購入していた各種消耗品の余りものを有効活用することで実験の実施に問題がなかったため、若干の次年度使用額が発生した。今年度の研究継続で各種消耗品が大量に必要になってくるため、適切に使用できる。
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