2023 Fiscal Year Research-status Report
Precise control of multi-step organic reactions and development of functional molecules
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22K06500
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
松尾 淳一 金沢大学, 薬学系, 教授 (50328580)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 多成分連結反応 / 大環状化合物 / ブルック転位 / ケイ素化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、ジカルボン酸とジイソニトリルとのダブルUgi反応による13-16員環テトラアミドの一段階合成を開発した。この方法では、高希釈条件を必要とせず、より大きな環の形成は確認されなかった。添加剤としてZnCl2を加えると、テトラアミドの収率が向上することが分かった。ダブルUgi環化反応の収率はN-置換第1級アミン成分の影響を強く受ける可能性があるということが分かった。また、環化生成物のX線結晶構造解析により、イソニトリル側の2つのカルボニル基の向きが逆方向に向く傾向があるということも示された。本方法はさまざまな13-16員環がダブルUgi反応によって合成されることを示し、13-16員環テトラアミドの化学ライブラリーの構築に有用であり、適切な物理化学的特性を備えた医薬品化合物の開発のための基盤となることが期待される。 18-crown-6エーテル存在下, 塩基としてKHMDSを用いてβ-シリルケトンとアルデヒドとの反応を行うことにより, β,γ-不飽和ケトンが得られることを見出した. β,γ-不飽和ケトンは, 副生成物であるシクロプロパノール体がフラグメンテーションを起こすことにより得られることを明らかにした. また, HMPA存在下, エノンに対するシリル基の共役付加反応を行い, 生じたエノラートとアルデヒドを反応させることによりワンポットにてβ,γ-不飽和ケトンが得られることを見出した. 本反応は, 骨格転位を伴っていることが実験結果から明らかであり, 今までに報告例のないβ-シリルケトンの新たな反応であることがわかった. また、キラル触媒を用いて光学活性なβ-シリルケトンを合成し、aldol/Brook転位における立体化学の解明を行った結果、立体化学の反転を伴っていることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多段階連続反応を取り入れた短工程合成法の開発を目的として、①触媒的4成分分子間cross Michael/Michael/aldol反応の開発、②複反応点Ugi反応による大環状ポリアミドおよびカゴ状ポリアミドの合成とその機能評価、③α-ジケトン構造を有する対称テトラオンの分子内連続環化とNesteretal A全合成、の3点を計画していた。既に①と③に関しては研究を完了しており、今年度で②の主要な部分の基礎的な部分に関して終了しているためである。
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Strategy for Future Research Activity |
アジリジンの炭素―炭素結合開裂に続く、トリメチルシリルシアニドなどとの炭素―炭素結合の形成反応を開発し、連結反応の可能性を広げる。 シクロブタノンの炭素ー炭素結合開裂反応に関して、通常困難な第4級炭素上でのSN2反応機構の解明を行う。 アジドーアルキン環化付加反応に関して、より速やかに進行し、さらに位置選択性を向上させるための因子を解明する。 tuberindine類の全合成を金触媒を用いるヒドロアミノ化を鍵工程として行う。
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Causes of Carryover |
当該年度において、発表者の体調が悪かったため、学会参加ができなかった。その結果、旅費の支出がなかったため、次年度使用額が生じた。次年度は発表者の体調を管理し、まとめて発表を行う計画としている。
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Research Products
(5 results)