2023 Fiscal Year Research-status Report
核酸医薬開発の推進を目指した核酸オリゴマーの革新的合成法の開発
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22K06501
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
喜多村 徳昭 岐阜大学, 工学部, 助教 (10503659)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 核酸オリゴマー / 簡便合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
核酸オリゴマーで構成される核酸医薬は、次世代医薬品として期待されている。しかし、核酸オリゴマーの従来合成法で用いられるユニット単位は酸化されやすい上、酸化体を再生して使用することはできない。また、ユニット単位の合成に手間とコストを要する。したがって、より実用的な合成法を開発する必要がある。そこで本研究では、多様性指向型合成により合成したユニット単位を用いて、わずか2種類の処理を繰り返すのみで鎖伸長が可能な、極めて効率的・実用的な核酸オリゴマーの革新的合成法(Repetitive two-step method for oligonucleotide synthesis; RTOS)の開発を目指した。 まず、RNAよりも簡便に合成可能なDNAのRTOSによる構築を目指すにあたり、DNAを構成するヌクレオシドの中で最も化学修飾が容易なチミジンのオリゴマーをモデル化合物とし、各種官能基を導入したチミジンのRTOS用ユニット単位の合成を検討した。ユニット単位として、3'位水酸基に選択的に除去可能な2つの異なる官能基で保護したリン酸ジエステルを導入し、かつ、5'位にカルベンやその等価体であるジアゾ基に変換可能な官能基を有するチミジン誘導体を設計し、合成を進めた。これまでに5'位水酸基をアジド基に置換し、3'位水酸基に2-クロロフェニル基と2-シアノエチル基で保護したリン酸ジエステルを導入したチミジン誘導体を得ることに成功している。また、5'位水酸基をホルミル基に置換したチミジンをチミジンから直接合成できることを見出した。得られた5'-ホルミル体を用いることで、5'-ジアジリン体や5'-アセチルヒドラゾノ体も最小ステップで合成できた。さらに、オリゴマー合成に先立って合成したユニット単位とリン酸ジフェニルとの連結を検討し、対応する連結体が得られることを明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
RTOSに必要な各種官能基を導入したチミジンのユニット単位を合成し、オリゴマー合成に先立ってユニット単位とリン酸ジフェニルとの反応を検討し、対応する連結体が得られることを明らかにした。しかし、連結効率に改善の余地があり、ユニット単位の構造改変を含めて検討を行っている。そのため予定よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
RTOSの開発で鍵となるユニット単位の効率的な連結手法を確立し、オリゴマーの構築を目指す。ユニット単位の構造改変も進めながら、連結方法を最適化することにより、本研究課題を推進する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)本研究課題で鍵となる化合物の合成において、効率的な手法を見出すことができ、当初予定していた物品の購入などが不要となったため、次年度使用額が生じた。 (使用計画)引き続き行うユニット単位の連結ならびにそれらを用いた革新的核酸オリゴマー合成法(RTOS)の開発に充てる。また、研究成果の一部を学会で発表する予定であり、出張の費用として使用する。
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