2022 Fiscal Year Research-status Report
無保護アミノ酸を利用する高効率ペプチド合成法の開発
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22K06513
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
西川 泰弘 名城大学, 薬学部, 助教 (20633580)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ペプチド / 中分子 / アミノ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
ターゲット分子への基質特異性が高く、副作用が比較的少ない高分子医薬品と、細胞内の標的にも作用し、製造コストが安価な低分子医薬品の利点を併せ持つとされる、中分子医薬品が注目を集めている。その代表であるペプチド医薬品は、特殊アミノ酸の導入や化学修飾による新機能の開拓が見込まれているが、現在の化学合成法では製造コストが高く、より効率的で低コストな手法の開発が急務となっている。現在のペプチド合成法におけるコスト高の原因は、高価な保護アミノ酸を用いていることとみなし、この問題を無保護アミノ酸を用いる手法へと切り替えることで解決することを目指した。本研究では、独自に考案した金属テンプレート効果を利用し、無保護アミノ酸を比較的安定な活性エステルと直接反応させることを計画した。本年度は無保護アミノ酸を固定し、各種活性エステルの反応を検証し、適切な活性エステル構造を探索した。さらに、反応生成物であるモデルペプチドのジアステレオマーを調製し、逆相HPLC条件にて分離することで、高感度かつ高速にエピメリ化率を測定する条件を見出した。反応条件を精査することで、モデル実験ではあるもののラセミ化を最小限に抑制しつつ、収率良くペプチドを得ることに成功した。次年度は、本手法が様々なペプチドおよび反応させるアミノ酸に適用可能かどうかの検証を続けていく予定である。また、長鎖ペプチド合成に向けて、疎水性タグを用いた簡易精製法を検討することにより、液相での連続伸長反応の開発にも着手する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデル実験においてラセミ化を最小限に抑制しつつ、収率良くペプチドを得ることに成功した。活性エステルの加水分解が一部観測されたため、これを抑制することが課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
本手法が様々なペプチドおよび反応させるアミノ酸に適用可能かどうかの検証を続けていく予定である。特に嵩高い無保護アミノ酸を縮合させることや、C末端にエピメリ化しやすいCysやHisを用いた場合にエピメリ化を抑制できるか検証する必要がある。
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Causes of Carryover |
令和4年度は本研究に従事する学生の実務実習が年度末に入ったことから、予定していた予算執行が次年度へとずれこんだ。そのため、令和4年度としてはわずかに残額が生じたが、その分、令和5年度での執行を予定している。令和5年度は、研究に使用する試薬、消耗品類への支出が中心で主要な物品の導入は予定していない。
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Research Products
(7 results)