2023 Fiscal Year Research-status Report
酸素酸化反応を鍵とするアミン類の脱水素型選択的分子変換反応の開発
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22K06516
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
松本 健司 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (20531817)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 不均一系触媒 / 酸素酸化反応 / 酸化反応 / 脱水素酸化 / 酸化的環化 / スピロ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、我々独自の不均一系酸素酸化触媒反応を基盤にしてアミン類の酸化的分子変換法の開発に取り組んでいる。昨年は、アミンα位sp3炭素-水素結合の位置選択的酸化反応を開発した。酸素雰囲気下で不均一系白金触媒をN-芳香族ピロリジンに作用させると、酸化的環化二量化反応が進行し、四環性骨格を有するジピロロキノリン誘導体を高収率で与えることを見出した。さらにジピロロキノリン型アルカロイドの合成に適応できることを明らかにした。今年度は、引き続きアミン類の酸化的環化反応の開発に取り組んだ。まず、以前開発した分子内カップリングによる多置換カルバゾール合成法に関して、その基質適応範囲の拡張について検討した。しかし、ベンゼン環上の置換基を変更すると、カルバゾールは全く確認できなかった。その後も置換基効果を検討した結果、3,4-置換体を不均一系触媒反応に付すと、温和な条件下でカスケード型酸化的環化反応が速やかに進行し、スピロ化合物が高収率で得られることを見出した。そこで不均一系ロジウム触媒、不均一系パラジウム触媒、不均一系ルテニウム触媒など反応条件を検討した結果、ロジウム炭素触媒を用いるとスピロ化合物を高収率で得られることが分かった。反応をスケールアップして検討しても反応スケールに関係なく円滑に進行することが分かった。さらに触媒の回収再利用も可能であることが分かった。しかし収率低下など触媒活性の低下が観測されており、引き続き精査する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、上述の通り、当初計画したアミン類の酸化的環化二量化反応に関する研究を実施するなかで新規なスピロ環骨格構築法を見出すことができた。本反応の条件最適化は完了し基質検討も進行中であるなど、概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続きアミン類の酸化的分子変換法の開発に取り組む。具体的には、上述の酸化的環化反応の一般性および反応機構に関する知見を取得すべく検討する。[4+3]型環化付加反応による環状アミン骨格構築法の開発を検討する。また、脱水素カップリング反応を起点とするカスケード型酸化的環化反応など、新たな環状アミン合成法の開発に取り組む。これまでの研究で見出した知見を活用して反応基質を精密に分子設計し、従来法では合成の難しい環状アミン類を合成する新たな手法の開発に取り組む。
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Causes of Carryover |
令和4年4月の異動により研究環境が大きく変化したため、備品の購入計画を変更し未使用額が生じた。次年度は、研究遂行に必要な機器類、実験に必要な試薬類、ガラス器具、消耗品など多数の物品購入を見込んでいる。繰り越した研究費と合わせてこれらの物品購入に研究費を使用する予定である。
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