2022 Fiscal Year Research-status Report
Unified total synthesis of the unexplored densely oxygenated daphnane diterpenes for drug lead discovery
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22K06521
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長友 優典 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 講師 (70634161)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 全合成 / 天然有機化合物 / 中分子 / テルペノイド / ラジカル反応 / ダフナンジテルペン |
Outline of Annual Research Achievements |
ダフナン・チグリアン・ラムノフォランジテルペン(分子量分布: 350-900)は、沈丁花(ジンチョウゲ)Thymelaeaceae科と燈台草(トウダイグサ)Euphorbiaceae 科の植物から単離総数40 0 を超す巨大天然物群であり、5/7/6 員環(ABC環)がトランス縮環した基本炭素骨格を持つ。一方でC環の官能基様式やアシル基の置換様式は異なり、その置換基に依存して、鎮痛活性(レジニフェラトキシン)や抗HIV活性(プロストラチン)など多岐に渡る重要な生物活性を発現する。そのため、新薬創製につながる大きな可能性を秘めた化合物として注目を集め続けている。しかし、資源の稀少性・偏在性と微量な含有量、および培養ができないという点がこれらジテルペン類の量的供給の難題となっており、これら天然物の利用は難しい。ゆえに、全合成による供給が必須である。これら複雑天然物の全合成は極めて挑戦的な課題であり、既報の全合成例においても多段階を要している。 我々は、創薬シード化合物となり得る多様な類縁体の量的供給を見据え、これらジテルペン類16種を16-33工程で網羅的に合成する新戦略を確立した。本全合成で展開した複雑な高酸化度天然物の基質設計原理や化学変換などの合成戦略は非常に強力であり、本天然物群の合成未踏天然物の全合成および量的供給を可能にする。将来的には、さらなる生物活性評価や機能解明を推進し、未知活性の発見および活性増強に寄与する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は本基盤研究Cの開始以前に5種のダフナン・チグリアン・ラムノフォランジテルペン類の全合成に成功していたが、今回さらに11種の複雑天然物の全合成に成功した。また、創薬シードを視野に入れた、それらの生物活性試験も実施している。これらの点では期待以上の進展があったと言える。ただ、研究開始当初から合成標的として定めている、超高酸化度なダフナンジテルペンであるグニジマクリンやマプロウネアシンの全合成達成には至っていないので、おおむね順調な進捗状況であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、レジニフェラトキシンの全合成で活用したラジカル合成戦略を最大限応用し、マクロ環を有する極めて高酸化度なダフナンジテルペンであるグニジマクリンの全合成研究を2名の大学院生と強力に推進する。 また、合成中間体をを含めた、化合物の生物活性試験を共同研究先とともに実施し、中分子創薬シード・リードとしての活用を目指す。
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Research Products
(21 results)