2023 Fiscal Year Research-status Report
創薬分子合成に資する多官能基性分子の選択的アリール化法の開発
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22K06528
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
栗山 正巳 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (40411087)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 化学選択性 / 複素環 / 有機ヨードニウム塩 / アリール化 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.N-アルキルピリドンと有機ヨードニウム塩の反応の検討:N-アルキルピリドンと有機ヨードニウム塩の反応を試みたところ、酸素部位が選択的にアリール化された。このようにして生じたピリジニウム塩を塩基性条件により加溶媒分解するとフェノール類を得ることができた。これらをワンポット型の連続反応として検討を行うこととした。ピリドンの窒素上置換基を種々検討したところ、N-ベンジルピリドンが優れた収率でフェノール類を与えた。1段階目の溶媒については、極性が高くなるにつれて収率が低下する傾向があり、トルエンを用いたときに最高収率を与えた。また、本反応の2段階目には強塩基であるLiOMeが適していることが明らかとなった。
2.ワンポット型反応における基質適用範囲の検討:反応点近傍に立体障害を有する有機ヨードニウム塩を用いた場合にも良好な収率が維持された。オルト位が2つとも置換された場合には、より高い反応温度とすることにより優れた収率で目的物を得ることができた。有機ヨードニウム塩に電子供与性もしくは電子求引性置換基が存在しても大きな収率の低下は観測されなかった。アミド部位やニトリル部位が共存するような場合にも副反応が進行することなく目的物が良好に生成した。複素環を含む有機ヨードニウムを本反応に適用したところ、ピリジンやキノリン、ジヒドロベンゾフランといった複素環類を優れた収率でヒドロキシ化できることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
探索的段階を終えて反応の検討に入り、反応剤を当量必要とする反応条件ではあるが、優れた一般性で収率良く目的物を得ることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎的な反応システムの確立に成功したので、これを基盤として応用性の高い化合物への適用や触媒化などへと展開をはかって行く。
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Causes of Carryover |
基質一般性の検討において当初の予定と異なる展開となり計画を修正した影響が出ている。応用的な化合物への適用や実用性向上を目指した検討を実施するために必要となる試薬やガラス器具の購入に充てる予定である。
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