2022 Fiscal Year Research-status Report
イナミドから生じるメタルビニリデン種を駆使した含窒素複素環構築法の開発
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22K06538
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
田湯 正法 明治薬科大学, 薬学部, 助教 (20632780)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | イナミド / ビニリデン / 複素環 |
Outline of Annual Research Achievements |
イナミドから生じるメタルビニリデン中間体を利用した含窒素複素環の構築に取り組んだ。特に、インドール部位を分子内に有するイナミドを基質として用いた反応を検討した結果、様々な生物活性天然物の中心骨格として含まれるアゼピノ[4,5-b]インドール骨格およびジアゼピノ[1,2-a]インドール骨格を中程度の収率で構築できた。なお、本骨格の構築にあたり、以前報告した「フェニルイナミドからメタルビニリデン中間体を経たインドール合成法」における触媒としてTp配位子をもつルテニウム触媒が今回の反応でも最適触媒であったものの、同反応で最適溶媒であったTHF溶媒は今回の反応では目的物の収率が低かった。そこで、溶媒の再検討が必要となり、検討の結果、アセトンのような高極性溶媒が良好な収率で目的の環化体を与えることがわかった。続いて、置換基効果を種々検討した結果、インドール部位における置換基が反応の収率に大きな影響を与えることが明らかとなった。すなわち、インドール部位の求核性が高いほど環化体の収率が高く、求核部位の電子密度が本反応の収率に寄与することがわかった。特に、インドール1位の窒素原子上に電子供与基を置換させると劇的に収率が向上した。インドール以外の複素環としてベンゾフラン部位をもつ基質では環化が進行しなかったことからも、求核部位の電子密度が大きな影響を与えていることが示唆された。 本年度の研究成果は、第51回 複素環化学討論会にて発表した(演題名:イナミドから生じるルテニウムビニリデン中間体を経たアゼピノインドール骨格構築法)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、イナミドからメタルビニリデン中間体を発生させ、環化反応を利用した複素環の構築に成功した。構築できた複素環の種類は少ないものの、生物活性天然物に含まれるアゼピノインドール骨格を構築でき、本反応における置換基効果も検討できた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に基づき、生物活性天然物の全合成への応用に取り組む。 すでに構築できた骨格を有する天然物をターゲットにした合成研究を行う。
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Causes of Carryover |
すでに調製した試薬を用いたため、試薬購入量を節約できたこと、および学会での宿泊日数が予定より短縮されたことで旅費が余ったため。 生じた次年度使用額の使用計画としては、これまで自ら合成していた複雑な基質や遷移金属錯体を購入し、事前調製の時間を短縮することで、本研究を加速させるために使用する。
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