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2022 Fiscal Year Research-status Report

分子間Wacker型反応による位置選択的ヘテロ原子の導入法に関する研究

Research Project

Project/Area Number 22K06540
Research InstitutionMeijo University

Principal Investigator

原 脩  名城大学, 薬学部, 教授 (40222228)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords分子間Aza-Wacker反応 / 配向基
Outline of Annual Research Achievements

今年度は、内部アルケンへの分子間Aza-Wacker型反応に適した配向基有する基質を検討した。これまでに分子内Aza-Wacker型反応では、内部アルケンに対しても有効であることから、遷移金属の基質への配位効果を期待しPyユニットとTHFユニットを有する基質に対して、その反応性を検討した。THFユニットを有する基質においては、十分な反応性を確保できなかったが、Pyユニットを有する基質では、反応が進行することが確認出来た。この基質のアルケンは末端部分に存在するが、その反応点は、従来のAza-Wacker反応の反応点とは異なり、アンチマルコウニコフ型で求核種が導入されていることを示しており、Py環の窒素原子の金属への配位効果がその要因と考えられた。また、反応条件を精査していったところ、従来の分子間反応では、十分な化学収率を得るためには、基質となるアルケンを求核剤に対して4当量程度過剰に用いることが必要であったが、本基質では、求核剤との割合がほぼ1対1の状態で、約55%の化学収率で、目的物が得られることが明らかとなった。なお、この反応においては、触媒金属のβー脱離によって、生成するアルケンがPy環と共役するⅠまで、異性化したので、今後はこのアルケンの移動の制御についても、検討する必要が課題として現れた。Py環を有する末端アルケンでは、ほぼ満足出来る結果となったので、このPy環の効果を期待して、末端アルケンにメチル基を導入した内部アルケンに変更して、末端アルケン条件で反応を検討した。しかし、立体的な効果が影響したのか、触媒条件、添加物の効果、酸化剤の効果、温度条件など、様々な条件を検討したが、現状、末端アルケンほどの化学収率は得られず、10%程度に留まっている。多くは原料回収となっているため、今後は、より配位能の高い配向基が必要と考え、基質の検討をしている状態である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当初は、これまでの反応例から、分子内に適度な配向基が存在すれば良いと予想し、数種類官能基の検討を加え、Py環が末端アルケンにおいて従来とは異なるアンチマルコウニコフ型で進行することから位置選択的な反応を可能にする配向基と考えた。しかし、内部アルケンでの反応性は、末端アルケンとは大きく異なり、著しく低下したことから、内部アルケンに必要な配向基の必要性が出てきた。そのため内部アルケンにも十分な反応性が確保できる新たに配向基の選択の必要性に迫られ、現在、その検討に必要な基質の合成を行っている。

Strategy for Future Research Activity

これまでの研究期間において、内部アルケンでは、基質と触媒、求核剤が、十分な錯体構造を形成できないことから、十分な反応性を維持できないと考えている。そこで従来、基質側に触媒が配位する原子を一カ所としてきたものを、多点で配位出来る構造へと変更しており、触媒金属の配位数や配位能の特徴を念頭に、基質の導入する配向基をデザイン、合成している。現状、配向基の能力を十分に評価出来れば、計画の大きな変更はないと考えている。しかしながら、配向基の選別と反応性の確保という点から、検証すべき点が多く存在するため、予定より時間を要することになっている。この点については、配向基の種類により、研究協力者の人数を増やし、対応をしていきたいと考えている。なお、課題を遂行する上で、新たな視点として、二重結合の異性化の問題が出ており、この異性化を制御するため、基質の構造と触媒の関係にも着目し、検討を加える計画である。

Causes of Carryover

当初の使用額との差異は、直接経費と間接経費の両経費より、物品費、学会参加費等の支出を行っていた。その結果、間接経費からの支出割合が増え、直接経費に残高が生じた。次年度は、研究計画では、申請当初の計画より、検討すべき化合物の範囲が増えたことにより、物品の購入増が予想されるため、繰り越しした残額は、物品費に当てる計画である。その他、国内旅費やその他の費目の出費を抑え、その費用については他の予算項目からあてる予定である。

  • Research Products

    (6 results)

All 2023 2022 Other

All Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 1 results) Presentation (4 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Chelating Picolinaldehyde Hydrazone Amides as Protecting Groups for Carboxylic Acides: Orthogonal Reacticvities of Hydrazone Amides and Esters in Hydrolysis2023

    • Author(s)
      Yasuhiro Nishikawa, Daiki Mori, Mayuko Toyoda, Yukino Amano, Midori Hosoi, Momoka Amdo, Osamu Hara
    • Journal Title

      Organic Letters

      Volume: 25 Pages: 895-900

    • DOI

      10.1021/acs.orglett.2c03670

    • Peer Reviewed / Int'l Joint Research
  • [Presentation] 海洋産異常アミノ酸Dysibetaineの全合成2023

    • Author(s)
      武田侑加、西川泰弘、久留宮菜々花、日紫喜李野、佐藤菜央、安田知富未、伊藤祐来、中山脩斗、舘ひかる、榊原志織、宇佐美結、朴珠恩、原 脩
    • Organizer
      日本薬学会第143年会
  • [Presentation] ヒドラゾンカルバメートの化学選択的加水分解反応とアルコール保護基への展開2023

    • Author(s)
      吉田結衣、西川泰弘、安藤桃花、百瀬真梨、宇藤愛祐子、原 脩
    • Organizer
      日本薬学会第143年会
  • [Presentation] Nーアセチルアミノ糖への位置選択的アシル化反応2022

    • Author(s)
      服部暖、西川泰弘、高田華苗枝、高羽瑠奈、岸未紀、松井孝美、佐藤彰啓、原 脩
    • Organizer
      第68回日本薬学会東海支部大会
  • [Presentation] 配位性ヒドラジドの化学選択的加水分解反応とアルコール保護基への応用2022

    • Author(s)
      百瀬真梨、西川泰弘、安藤桃花、宇藤愛祐子、吉田結衣、原 脩
    • Organizer
      第48回反応と合成の進歩シンポジウム
  • [Remarks] 論文がアメリカ化学会の学術誌Organic Letters誌のFront Coverに採択

    • URL

      https://www-yaku.meijo-u.ac.jp/kenkyu/functional/

URL: 

Published: 2023-12-25  

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