2022 Fiscal Year Research-status Report
1,5-水素原子移動反応を利用したヌクレオシドの位置選択的エピメリ化法
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22K06542
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
伊藤 勇太 徳島文理大学, 薬学部, 助教 (90783225)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ヌクレオシド / ジアステレオマー / 1,5-水素移動反応 / ラジカル反応 / エピメリ化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヌクレオシドのジアステレオマーは興味深い機能を有するものの、天然には殆ど存在しないため、糖部立体化学を厳密に制御しながら合成する必要がある。そこで、本研究ではエピメリ化により簡便にヌクレオシドのジアステレオマーを合成する手法を開発する。さらに、エピメリ化と同時に糖部修飾を行う手法も併せて確立する。本手法の実現には最近我々が報告した1,5-水素移動反応を用いるヌクレオシド糖部上での炭素ラジカル発生法を利用できると期待した。 はじめに、糖部4'位のエピメリ化法を確立するため、5'位にイミデートを有するヌクレオシドを容易に調製する手法を検討した。その結果、N-フェノキシアミドとの光延反応によりチミジンの5'位にイミデートを単工程で導入することに成功した。続いて、フォトレドックス触媒存在下、得られたイミデート体に可視光照射を行い、糖部4'位のエピメリ化を試みた。しかし、エピメリ化は進行せずイミデートの加水分解物が得られるのみであった。そこで、電子不足アルケンを添加して反応を検討したところ、1,5-水素移動反応による4'-炭素ラジカルの生成とラジカル付加反応が連続して進行し、4'位の官能基化されたヌクレオシドのジアステレオマーが得られた。しかし、その立体選択性は低いことが明らかとなった。そこで、3'位水酸基をTBS基で保護したイミデート体を用いて反応を検討したところ、ラジカル付加反応がβ面で優先的に進行し、高い立体選択性で目的のヌクレオシドを得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は新規エピメリ化法の反応条件を探索し、4'位の官能基化されたヌクレオシドのジアステレオマーを得ることに成功した。また、保護基の導入により高い立体選択性で目的の反応が進行することも見出したことから「おおむね順調に進展している。」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度以降は以下の研究を実施する。 現在までにエピメリ化と同時に糖部4'位を立体選択的に化学修飾する手法を確立した。そこで、電子不足アルケンの代わりに水素供与体を用いて4'-炭素ラジカルを捕捉することでエピメリ化のみが進行する条件を探索する。この際、様々な水素供与体を検討し、β面選択的に水素化される反応剤を見出す。4'位のエピメリ化法を確立した後、糖部1'位で核酸塩基のエピメリ化を検討する。具体的には、リボヌクレオシドの2'位水酸基上にイミデートを導入した基質から1'-炭素ラジカルを発生させることでエピメリ化を試みる。さらに時間があれば、本手法を様々な糖類のエピメリ化反応へと展開する予定である。
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Causes of Carryover |
残額は1万円未満であり、ほぼ計画通りに予算を使用した。残額は次年度の試薬購入に充てる。
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Research Products
(3 results)