2023 Fiscal Year Research-status Report
疾患関連抗体に対する抗イディオタイプDNAアプタマーのファスト&ファインデザイン
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22K06550
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
轟木 堅一郎 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (70341451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 秀樹 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (00419665)
橋本 博 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (40336590)
池袋 一典 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 卓越教授 (70251494)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | DNAアプタマー / 抗体医薬 / 抗薬物抗体 / バイオアナリシス |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画1「抗体を標的とした抗イディオタイプDNA アプタマーの効率的探索法の構築」では、前年度に実施したタンパク質精製分取用クロマトグラフによる結合解離スクリーニングに加え、PCRチューブを利用した結合解離スクリーニング法も新たに構築することができ、抗体医薬のみならず抗薬物抗体などの微量抗体に対するアプタマー獲得が可能となった。研究計画2「抗イディオタイプDNA アプタマーの高性能化のための精密デザイン」では、前年度に開発したアプタマーダイマーの知見を基に、ビオチン化アプタマーとストレプトアビジンからなるアプタマー4量体、第2世代のPoly(amidoamine)(PAMAM)dendrimerに共有結合を介し複数のアプタマーを結合させた多価アプタマーの2種類を作製した。これらはいずれも標的抗体医薬に対する親和性が飛躍的に向上しており、特に前者のアプタマー4量体は濃度効果以上のavidityによる親和性向上が示唆され、その理由について構造化学的な観点から説明することが可能となった。研究計画4で示した「ADAに対する抗イディオタイプDNAアプタマーの獲得とその評価」について、抗薬物抗体(ADA)の発現頻度が高いadalimumabに対するDNAアプタマーを複数獲得することができた。今後、これらの結合親和性および結合部位をELAA法やin silico解析により精緻に評価することで、多種のADAの活性を網羅的に検出できる方法論へと深化させていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画1「抗体を標的とした抗イディオタイプDNA アプタマーの効率的探索法の構築」については、前述のように概ね目標を達成でき、ADAなどの入手量が限られる微量抗体に対応した新たな探索法も構築できており、その成果は論文投稿(査読後改訂中)および学会発表により報告している。研究計画2「抗イディオタイプDNA アプタマーの高性能化のための精密デザイン」についても、2種の多価アプタマーによる親和性向上が達成でき、これらをリガンドとして用いることで従来のELAA法の感度不足の克服が期待できる。研究計画3「抗イディオタイプDNAアプタマーによる抗体医薬のバイオアナリシス」については、前年度に引き続き各種抗体医薬に対するアプタマーの獲得と、ELAA法によるバリデートされたLigand Binding Assayの構築を進めており、これらの成果は学会発表のみならず近く論文投稿予定である。研究計画4「ADAに対する抗イディオタイプDNAアプタマーの獲得とその評価」については、先述のように,adalimumabに対するDNAアプタマーを複数獲得することができ、次年度に実施するこれらアプタマーを利用したADA活性の網羅的解析法開発に向けた準備が整いつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
微量抗体に対するアプタマー獲得においては、これまで候補配列導出に用いていたSmart AptamerおよびRaptRankerに加え、アプタマー配列生成プログラムであるRaptGenも新たに導入することで、より親和性と特異性に優れたアプタマーの獲得に繋げる。ADA活性の網羅的解析法開発においては、獲得する候補アプタマーがAdalimumabのいずれの部位に、どの程度の親和性で結合するかと正確に見積もることが重要となる。結合能評価においてはスループットに優れたBio-Layer Interferometry(BLI)を導入する。また、結合部位の予測においては、現在使用しているドッキングシミュレーションプログラム(HDOCK)に加え、HADDOCKやその他のin silicoツールを積極的に導入することで、結合位置の正確な理解に繋げる。
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