2023 Fiscal Year Research-status Report
細胞接着装置によるマスト細胞の開口放出の動的制御機構の解明
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22K06567
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
古野 忠秀 愛知学院大学, 薬学部, 教授 (80254308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 崇弘 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (70298545)
横川 慧 愛知学院大学, 薬学部, 講師 (40804406)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | マスト細胞 / インテグリン / マトリックス / ゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞接着装置によるマスト細胞の開口放出の動的制御機構の解明のため、GelMA(gelatin methacryloyl)を用いて弾性係数の異なるゲルを作製した。GelMAを基材とした硬さの異なるゲル(マトリックス)を作製し、表面にコラーゲンコートを施してマスト細胞のモデル細胞(RBL-2H3細胞)を培養した。その結果、紡錘形をしているRBL-2H3細胞は、軟らかいマトリックス上では細胞の形が丸くなった。接着斑を形成するintegrinやtalinの細胞内分布にも違いが見られ、ゲル上の細胞は、ガラス上の細胞に比べて細胞の接着面側にintegrinが分布している面積が小さいように思われた。 また、マトリックスの弾性係数が減少するとともに、IgE受容体を介した抗原刺激に伴うRBL-2H3細胞の脱顆粒が減弱することを見いだした。その分子機構を明らかにするため、カルシウムイメージングにより抗原添加後の細胞内カルシウムイオン動態を調べたところ、ゲルの有無によってカルシウムシグナルの応答に違いが見られることがわかった。具体的には、ゲルの有無に関わらず持続的な上昇パターンを示す細胞が多かったが、ゲル上で培養した細胞は、ガラス上の細胞に比べて、細胞内カルシウムイオン濃度が素早く上昇するものの、上昇の大きさは小さいことが分かった。一方、IgE受容体を介さずにRBL-2H3細胞に脱顆粒を引き起こす小胞体のカルシウムポンプ阻害剤thapsigarginとプロテインキナーゼC活性化剤PMAの共刺激では、ゲルの有無に関わらずRBL-2H3細胞の脱顆粒及びカルシウムイオン動態に違いは見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マトリックスの硬さがマスト細胞の活性化に及ぼす影響について研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた結果を受けて、最終年度は、マトリックスの硬さがマスト細胞のIgE受容体の架橋構造の形成に焦点を当てて研究を進める。
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Causes of Carryover |
現有の試薬等の消耗品を効率的に使用したことが挙げられる。 翌年度は、IgE受容体の架橋構造の形成に研究の対象を絞り、本格的に機構解明に取り組むため、抗体などの高額な試薬の新たな支出が増えることが見込まれる。また、研究成果を学術論文として積極的に発表していく予定で、そのための経費として使用する。
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