2022 Fiscal Year Research-status Report
Rho活性化因子に対するタンパク質相互作用原理を用いた新規機能調節分子の創成
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22K06579
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
上田 浩 岐阜大学, 工学部, 教授 (50253779)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | RhoGEF / NCK2 / SH3ドメイン / PHドメイン / PxxPモチーフ |
Outline of Annual Research Achievements |
過去、RhoGEFの一種であるPLEKHG1のPHドメイン上に、PXXPモチーフが存在し、そのモチーフにアダプタータンパク質の一種である NCK2が結合することにより、PLEKHG1のRhoGEF活性が抑制されることを見出した。このことから、今年度は、計画に従い、まず、他の70種類存在するRhoGEFのPHドメインにPXXPモチーフを持つものが存在するかどうかを確認した。その結果、5種類のRhoGEFのPHドメイン上にPXXPモチーフが存在することがわかり、そのうちの4つについては、PLEKHG1とほぼ同様の位置(PHドメインの開始アミノ酸から数えた場合)にPXXPモチーフが存在することを確認した。それらのRhoGEFに関して、全長クローンを取得し、DH-PHドメインのみの変異体およびPXXPモチーフの変異体などの発現ベクター等を作成し、HEK293細胞において、その発現を確認するとともに、これらの野生型及び変異体が、HEK293細胞において、Rho活性化の指標であるSRF活性を上昇させることも確認した。さらに、NCK2の全長及びSH3ドメインのみを持つNCK2のN末端領域変異体の発現ベクターを用い、それぞれのRhoGEFの活性に対する影響を確かめた結果、予想通り、PLEKHG1を含む5つのRhoGEFにおいて、NCK2との共発現により、SRF活性が抑制された。このことから、予想通り、NCK2によりPHドメインにPXXPモチーフを持つRhoGEFはその活性が抑制されることが示唆された。さらに、これらのRhoGEF及びNCK2それぞれの各種変異体を用いた実験から、RhoGEFとNCK2は、このPHドメイン上のPXXPモチーフを介して相互作用していることも免疫沈降実験等から明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載していた通り、PHドメイン上にPXXPモチーフを持つRhoGEFをアミノ酸配列情報から見出し、それらの全長および変異体発現ベクター等を調製できた。また、これらの発現ベクターを用いて、NCK2との相互作用や、その相互作用がRhoGEF活性と関係していることまでは明らかにできた。以上のことから、ほぼ、申請書に記載した計画通りに進んでいると考えることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後については、計画に従い、今年度やり残したそれぞれのRhoGEFとNCK2との共発現細胞における各種変異体の細胞形態変化への影響等について細胞イメージング技術を用いて取得し、PHドメインとSH3ドメインの相互作用について、細胞形態からも補強する予定である。また、さらに計画に従い、この相互作用に必要なアミノ酸配列について、さらに変異体等を調製し、それらのアミノ酸配列を確定する予定である。
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