2022 Fiscal Year Research-status Report
ヒト抗肥満創薬を目指した多面的アプローチによる標的分子の探索と機能解析
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22K06589
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
岩田 武男 新潟薬科大学, 薬学部, 准教授 (10350399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水澤 典子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (80254746)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 脂肪細胞 / 肥満 / 脂肪分化 / 遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
内臓周囲に脂肪組織が沈着する内臓型肥満は動脈硬化のリスクを高めるが、皮下脂肪組織が蓄積する皮下型肥満は動脈硬化のリスクを軽減すると言われている。この病態の差異に関わる分子基盤を明らかにするため、ヒトの内臓脂肪細胞と皮下脂肪細胞から抽出したtotal RNAを用いてマイクロアレイおよびqRT-PCRによる発現比較を行った。皮下脂肪細胞で内臓脂肪細胞よりも有意に高発現する遺伝子としてCSTA、OXT、WISP2、NNAT、TBX15など14種、内臓脂肪細胞で皮下脂肪細胞よりうも有意に高発現する遺伝子としてADRB1、SORL1、UCP2の3種を同定した。このうちOXT、WISP2、NNAT、TBX15の発現アデノウイルスを構築とCSTAの組換えタンパク質の精製を行った。OXT、WISP2の過剰発現させたヒト皮下脂肪細胞株SGBS細胞および組換えCSTAを作用させたSGBS細胞を脂肪分化誘導し、複数の脂肪細胞マーカー遺伝子の発現量を対照群と比較したが、これらに差は認められなかった。 脂肪分化に関わる分子機序は、マウスの細胞株3T3-L1やマウスの前駆脂肪細胞を用いた研究で明らかになったものが多いが、ヒトではマウスと異なる分子機序が存在することも報告されている。ヒト特異的脂肪分化に関連する分子を同定するため、SGBS細胞と3T3-L1細胞の脂肪分化過程に発現が上昇する遺伝子の同定とその比較をマイクロアレイおよびqRT-PCRを用いて行った。ヒト特異的に脂肪分化過程で発現誘導される遺伝子として、現在までに20種類以上の候補遺伝子を同定した。そのうち、GALNT15、ACSF2、MT1Xの発現抑制系と過剰発現系を構築し、GALNT15とMT1Xの発現抑制はSGBS細胞の脂肪分化を抑制することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の研究計画通り、ヒトの内臓脂肪細胞と皮下脂肪細胞で異なる発現を示す遺伝子とヒト特異的脂肪分化誘導遺伝子を同定し、そのうち複数の遺伝子について機能解析のためのツールを構築することができた。そのうち、いくつかは脂肪分化に関する機能解析にも着手している。以上のことから研究の進捗状況は順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、内臓脂肪細胞と皮下脂肪細胞で発現が異なる遺伝子とヒト脂肪分化関連遺伝子の同定と機能解析用ツールの構築を行う。すでに過剰発現系と発現抑制系が構築できている遺伝子については脂肪分化やアディポカインの発現・分泌に対する影響を検討する。
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Causes of Carryover |
shRNA発現プラスミドを当初の見積もりより安価に購入できた。次年度以降の消耗品に充足する。
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Research Products
(4 results)