2022 Fiscal Year Research-status Report
抗がん剤のうつ病誘発リスクに関する基礎的および薬剤疫学的検証
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22K06590
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
長澤 一樹 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (30228001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森戸 克弥 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (10878333)
村木 優一 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (50571452)
高山 健太郎 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (70611482)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | うつ様所見 / ストレス感受性 / 抗がん剤 / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、抗がん剤としてオキサリプラチン及びドキソルビシンを用いた。まず、オキサリプラチンの投与プロトコールを有害事象の発現をvon Frey試験の逃避反応を指標として設定を試みた。その結果、オキサリプラチンを8 mg/kgの投与量にて2日間連続でマウスに腹腔内投与することで、投与直後から摂餌量の減少に起因した体重減少、並びに投与後7日目において機械的アロディニアの発現が確認された。 これらマウスにおいて、投与後8日目に不安様行動をオープンフィールド試験、投与後9日目にうつ様行動を強制水泳試験で評価し、その後、脳及び糞便サンプルを採取した。その結果、オキサリプラチン投与マウスにおいて、うつ様所見は誘発されず、海馬での炎症所見も検出されなかったが、腸内細菌叢において腸管バリアの脆弱性に関与する腸内細菌の存在割合に変化が認められたことから、ストレス感受性が高まっている可能性が示唆された。 そこで、オキサリプラチン投与マウスに対し、その投与後7日目から21日間の軽度予測不能ストレスを負荷したところ、うつ様及び不安様行動が誘発される傾向にあった。 さらに、ドキソルビシンを5 mg/kgにてマウスに腹腔内投与したところ、対照群と比較して、体重及び摂餌量は投与後2-5日目にて減少し、甘味感受性は5及び7日目において低下していた。そこでドキソルビシンの有害事象が発現している投与後7日目においてオープンフィールド及び強制水泳試験を行ったところ、いずれにおいてもうつ様及び不安様行動は検出されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、抗がん剤2種類(オキサリプラチン及びドキソルビシン)に関して、さらにオキサリプラチン投与マウスへのストレス負荷によるうつ様所見の誘発を評価できており、概ね順調に進呈していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
抗がん剤投与の影響の評価時期やストレス負荷方法及び時期を検討すると共に、腸内細菌叢の解析に加え、腸管バリア、血液脳関門、海馬における神経新生、炎症関連因子の発現などに関して生化学的手法を用いて抗がん剤によるストレス感受性への影響について解析を進める。
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Causes of Carryover |
2022年度では、マウスへのストレス負荷法として、攻撃マウスを用いる社会敗北ストレスではなく、それを用いない慢性的軽度予測不能ストレスを適用したため、攻撃用マウスに係る支出がなかった。2023年度では次年度使用も活用して、社会敗北ストレスも含めたストレス負荷を適用し、研究を展開する予定である。
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Research Products
(3 results)