2023 Fiscal Year Research-status Report
MK2を介した非定型的活性型EphA2によるがん悪性進展の制御機構
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22K06612
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
周 越 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (10733339)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | EphA2 / MK2 / RSK / リン酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度はMK2を介したRSKの活性化機構の詳細について検討した。RSKは分子内にNTKDとCTKDの2つのキナーゼドメインを持ち、その活性調節は複雑に制御されている。これまでの報告により、ERKによるRSKの活性化では、①ERKがRSKに結合することでCTKDの活性化を誘導する。②活性型CTKDがリンカー部位に存在するSer残基のリン酸化を誘導する。③セリン・スレオニンキナーゼPDK1が結合し、NTKDの活性化を誘導する。④活性型NTKDはEphA2などの下流の基質のリン酸化を誘導する。しかし、MK2によるRSKの制御では、MK2が直接リンカー部位のSer残基をリン酸化しており、この際にはCTKDの活性は必要ないことを昨年度明らかにしている。NTKDの活性を調節するリン酸化部位は数か所知られており、これらのリン酸化に対するMK2の作用を検討した。MK2経路の活性化により3か所のリン酸化が誘導されることがわかった。それらのリン酸化が誘導されない変異体を作製し、実験に用いたところ、RSKの活性化の低下が認められた。そのため、MK2を介したRSKの活性化にはこれらのリン酸化が必須であることがわかった。 また、抗がん剤に対して耐性化する細胞の増殖へのMK2-RSK-EphA2経路の寄与について検討した。シスプラチン耐性を持つ肺がん細胞においてMK2-RSK-EphA2経路が亢進することを明らかにした。MK2阻害剤およびRSK阻害剤でEphA2のリン酸化が抑制され、細胞増殖能も低下した。しかし、EphA2をノックダウンした際には細胞増殖能の低下が認められなかった。このことから、MK2-RSK経路はEphA2ではなく、他の分子を制御することで細胞増殖を促進することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度はMK2を介したRSKの詳細な活性化機構と、抗がん剤に対して耐性化する細胞の増殖へのMK2-RSK-EphA2経路の寄与について検討した。進捗状況はおおむね想定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度はMK2を介したRSKの活性化制御機構について、2023年度に見出した3か所のリン酸化に注目して実験を進める予定である。また、がんの悪性進展へのMK2-RSK-EphA2経路の寄与についても検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
試薬購入時の金額調整により次年度使用額が生じた。2024年度の試薬購入にあてる予定である。
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