2023 Fiscal Year Research-status Report
ネクロプトーシスの脂質性制御とセラミド分子認識の解明
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22K06623
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
北谷 和之 摂南大学, 薬学部, 准教授 (40539235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 潔 摂南大学, 薬学部, 教授 (50201926)
重田 昌吾 東北大学, 医学系研究科, 助教 (90842633)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | セラミド / ネクロトーシス / MLKL |
Outline of Annual Research Achievements |
ネクロプトーシスは、新たに発見されたプログラム化ネクローシスであり、制御分子RIPK3や実行分子MLKL(mixed lineage kinase domain-like)が同定されている。これまでにスフィンゴ脂質セラミドが新たなMLKLの直接的な活性化分子である可能性を見出し、この機序解明に挑んでいる。 本課題では、セラミドが細胞内標的タンパク質MLKLの活性化を制御する分子機序の解明を試みている。2023年度では、MLKL・セラミド分子認識機序の解明を目指した結果、次の研究成果を得た:1)fatブロット法を用いて、MLKLに結合するセラミド分子種の同定、2)セラミドのMLKLオリゴマー化への関与。 1)まず、タンパク質を精製するために、HEK293T細胞にV5-tagged MLKL、V5-tagged欠損変異体MLKL(1-371)を過剰発現させた後、Hisカラムを用いて精製した。疎水性メンブランに各種のセラミド分子種をスポットした後、精製タンパク質水溶液と保温した。その結果、長鎖セラミドではなく、極長鎖セラミドが選択的に完全型MLKLタンパク質と相互作用することが判明した。一方で、1-371欠損変異体にはいずれのセラミド分子種も相互作用しなかった。 2)極長鎖セラミド分子種はMLKLと相互作用することから、これらセラミド分子種のMLKLのオリゴマー化への作用を無細胞系において解析した。上記で精製したMLKLタンパク質の水溶液に各種セラミド分子種を加え、一定時間保温した。その結果、極長鎖セラミドはMLKLのオリゴマー化を促進したが、長鎖セラミドではオリゴマー化は見られなかった。 以上の結果から、極長鎖セラミドはMLKLと相互作用する分子であり、この相互作用がMLKLのコンフォメーション変化を来すものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、MLKLと相互作用するセラミド分子種を同定できたことから、概ね順調に進んでいる。一方で、この相互作用を、BiacoreT200 を用いて解析する準備を整えていたが、当実験を中止する方向で進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
セラミド分子種とMLKLの相互作用の可能性を示唆する研究成果を得られた。現在、この生物学的な意義を探索中である。当研究のゴールは研究課題実施期間内に研究成果を国際誌に発表することである。このため、BiacoreT200 を用いた相互作用解析を中止する。これにより生じるエフォートならびに研究費を生物学的意義の解明に注ぐ。
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Causes of Carryover |
MLKLとセラミド分子種との分子間相互作用をBiacoreT200 を用いて解析する準備を進めたが、年度内に完了できなかった。このため、次年度使用額が生じた。
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