2023 Fiscal Year Research-status Report
Screening of SARS-CoV-2 protease inhibitors using FlipGFP reporter system
Project/Area Number |
22K06625
|
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
染谷 雄一 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 室長 (50283809)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 順紀 大阪大学, 微生物病研究所, 特任助教(常勤) (50899101)
林 豪士 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 主任研究官 (80824648)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | SARS-CoV-2 / プロテアーゼ / 阻害剤 / FlipGFP |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、SARS-CoV-2がコードするシステインプロテアーゼ(3CLpro)活性を簡便に測定できる系(FlipGFPレポーターシステム)を利用して、当該活性を阻害する低分子化合物を探索した。FDA承認薬ライブラリー(1200種)を用いてスクリーニングを実施したところ、薬剤未処理群と比較して、3CLpro活性の指標となるGFP陽性細胞数を90%以上減少させる化合物を50種以上見出した。これら化合物のSARS-CoV-2増殖阻害活性について、TMPRSS2発現Vero細胞を用いて評価したところ、少なくとも20種の化合物を処理した場合に、未処理群と比較して95%以上ウイルス増殖が抑制されていた。その中には、SARS-CoV-2感染阻害活性や3CLpro活性阻害活性が既に報告されている化合物が多く含まれていたことから、FlipGFPシステムの阻害薬探索系としての有用性が示唆された。また、特筆すべき点としてヒット化合物の中にはこれまでに報告がないものも含まれていた。さらに本年度は、FlipGFPを用いたプロテアーゼ活性評価系の汎用性・発展性を検討するため、SARS-CoV-2と同じくウイルス増殖がプロテアーゼに依存するエンテロウイルスにおいて類似系の樹立を試みた。その結果、幾つかのエンテロウイルス属(エンテロウイルスA71、D68など)がコードするプロテアーゼの活性を測定可能なFlipGFPシステムの構築に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた実験計画の通り、化合物スクリーニングによりSARS-CoV-2 3CLpro及び感染阻害活性を有する新規化合物候補を見出すことに成功したこと、およびFlipGFPシステムを用いて他のウイルス由来プロテアーゼ活性測定系の構築に成功したことから、「おおむね順調に進展している」と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度に見出したヒット化合物について、特にSARS-CoV-2感染阻害活性に関する論文報告のない5~10種程度の化合物に着目し、更なる解析(IC50の算出、in vitroにおけるSARS-CoV-2 3CLpro活性阻害効果の検討など)を行う予定である。また、新たに構築したエンテロウイルスプロテアーゼの活性測定系を用いて、ヒット化合物の阻害効果を検証する。ヒット化合物がエンテロウイルスのプロテアーゼ活性を阻害可能な場合には、当該化合物のエンテロウイルス感染阻害効果を評価する。これらの検討により、SARS-CoV-2やエンテロウイルスを含むプラス一本鎖RNAウイルスのプロテアーゼに広域に作用する阻害剤の同定を目指す。
|
Causes of Carryover |
年度末納品等にかかる支払いが、令和6年4月1日以降となったため。当該支出分については次年度の実支出額に計上予定であるが、令和5年度分についてはほぼ使用済みである。また、これとは別に発注しようとしていた物品が令和5年度内に納品不可能であったため、一部を令和6年度に繰り越すことになった。
|