2023 Fiscal Year Research-status Report
慢性疼痛における核内受容体RORsの機能解析と新規治療戦略への応用
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22K06628
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
森岡 徳光 広島大学, 医系科学研究科(薬), 教授 (20346505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 一恵 (久岡一恵) 広島大学, 医系科学研究科(薬), 助教 (20393431)
中村 庸輝 広島大学, 医系科学研究科(薬), 助教 (60711786)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 慢性疼痛 / RORγ / ミクログリア / マクロファージ / 炎症性サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、慢性疼痛における核内受容体retinoic acid-related orphan receptors (RORs)の関与およびその役割を明らかにすることで、RORsの慢性疼痛の新規標的としての可能性を示すことを目的として検討を行った。RORsは4種のサブタイプが知られており、いずれも様々な遺伝子発現の制御に関与している。昨年度までにRORγ阻害薬であるSR2211がミクログリアを抑制することで、疼痛を緩和する可能性を見出している。そこで本年度は、別のRORγ阻害薬であるGSK2981278の初代培養ミクログリアにおける炎症反応に対する影響を検討したところ、lipopolysaccharide(LPS)による疼痛誘発物質(interleukin(IL)-1β、IL-6)のmRNA発現増大反応が有意に抑制された。また慢性疼痛の発症に寄与することが知られているマクロファージに対するRORγの役割も検討した。マクロファージ細胞株RAW264.7におけるLPSによる疼痛誘発物質のmRNA発現増大反応が、SR2211の前処置によって有意に抑制されることが明らかとなった。逆にRAW264.7対してRORγ作動薬であるcintirorgonを処置するとLPSによる疼痛誘発物質のmRNA発現が増強された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究において、慢性疼痛の治療薬候補として、RORγが有用である可能性を見出した。さらに、慢性疼痛に対するRORγの鎮痛作用にミクログリアに加えて、マクロファージも関与する可能性を明らかにした。加えて、RORγを介した鎮痛作用メカニズムの一端にミクログリア及びマクロファージにおける疼痛誘発物質産生の抑制効果が関与していることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
RORsを介した鎮痛作用メカニズムをさらに詳細に明らかにするべく、RORsのその他のサブタイプ、特にRORαの役割について検討を行う。さらに新たな慢性疼痛として三叉神経ニューロパチーに着目し、これらの動物モデルを構築し、RORγ阻害薬の効果を検討する。また慢性疼痛発症に関与すると思われるROR刺激作用を有する内因性物質が未同定であり、これらに関してもモデル動物を用いて検討していく。
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Causes of Carryover |
残額が少額となり、この金額で購入できる有用な消耗品が見当たらなかったため繰り越すこととした。令和5年度残高と令和6年度予算について、令和6年度に実施する研究に使用する試薬などの消耗品を中心に、満額使用できるよう使用計画を吟味する予定である。
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