2022 Fiscal Year Research-status Report
Region-specific regulation of anxiety and fear in the medial prefrontal cortex via delta-opioid receptors.
Project/Area Number |
22K06636
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
斎藤 顕宜 東京理科大学, 薬学部薬学科, 教授 (00366832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 大輔 東京理科大学, 薬学部薬学科, 助教 (10621302)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | オピオイド / 恐怖記憶 / 不安 / 光遺伝学 / 内側前頭前野 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、全身投与したδオピオイド受容体(DOR)作動薬が条件付けされたマウスの恐怖記憶の獲得を抑制することを、さらに消去学習を亢進させることを明らかにしてきた。恐怖記憶の獲得・消去には、内側前頭前野(mPFC)のPrelimbic(PL)およびInfralimbic(IL)の関与が極めて重要である。さらにその領域には、DORが多数存在する。これまでの検討からPL のDOR が条件付けされていない不安様行動の制御に関与することを明らかにした。これらの背景から本課題では、DORの条件付けされた恐怖記憶の制御におけるPLおよびILの関与を検討することを目的に検討を開始した。 実験には光に応答するチャネルロドプシン2(ChR2)を組み込んだアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いた。AAVベクターをマウスのPL両側(AP: +1.65 mm; ML: +0.4 mm; DV:-2.25 mm)に投与し、5週間後にその投射先である扁桃体基底外側核(BLA)(AP:-1.46 mm; ML: +3.1 mm; DV: -4.3 mm)に光ファイバーを留置し光刺激を行った。 光刺激により高架式十字迷路において壁なし走行路滞在時間率とオープンフィールド試験において中心部滞在時間の有意な減少が認められた。一方で、恐怖条件付け試験におけるすくみ行動においては、影響を示さなかった。 以上のことから、PLからBLAに投射している神経回路は、条件付けされた恐怖記憶の制御には関与せず、生得的な不安の発現に関与している可能性が示唆された。今後は、ILにおける恐怖記憶および不安の制御における役割について同様の検討を行い、さらに変化が認められた領域については、オピオイドδ受容体の関与について明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の課題である”DORを介した恐怖記憶の獲得および消去に関わる神経回路の解明”を 行うために、光遺伝学的手法を用いる計画をしていたが、計画通り、本手法を立ち上げることができた。 具体的には、チャネルロドプシンを内側前頭前野前辺縁皮質(PL)に投与し、その投射先である扁桃体基底外側核を光刺激した時の情動行動解析を複数の評価系(高架式十字迷路試験、オープンフィールド試験、恐怖条件付け試験)で解析する系を立ち上げることに成功した。来年度以降この評価系を用いて、詳細なδ受容体の関与とその分子メカニズムの解明を進めていく目途が立った。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度構築できた評価系を駆使し、それぞれの情動行動変化に対するオピオイドδ受容体の関与について詳細な検討を加えていく予定である。具体的には、オピオイドδ受容体作動薬(KNT-127)を投与した時の、不安・恐怖記憶関連行動に及ぼす影響を明らかにする。また、それに関わる分子(mTORシグナル)等の関与について、mTORシグナルおよびウエスタンブロット法を用いながら明らかにする予定である。 また、内側前頭前野下辺縁皮質(IL)にチャネルロドプシンを投与し、扁桃体領域で発現が認められるマウスの作製についても着手する。扁桃体で発現が認められたマウスに光刺激をした時の恐怖記憶消去に及ぼす影響についても検討を開始する。
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