2022 Fiscal Year Research-status Report
蛍光アセチルコリンセンサーによる細胞内コリン伝達系の実証
Project/Area Number |
22K06637
|
Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
宇和田 淳介 金沢医科大学, 医学部, 講師 (70580314)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村松 郁延 金沢医科大学, 医学部, 客員教授 (10111965)
中澤 瞳 金沢医科大学, 医学部, 研究員 (20712300)
益岡 尚由 金沢医科大学, 医学部, 教授 (80509307)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | ムスカリン受容体 / GPCR / トランスポーター / アセチルコリンセンサー / 循環置換GFP / Gタンパク質共役型受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
ムスカリン受容体を含むGタンパク質共役型受容体は、通常細胞の表面に局在し、細胞外からのリガンドを受容して活性化を受ける。我々はアセチルコリンをリガンドとするムスカリンM1受容体が細胞の内部にも局在し、活性化されうることを明らかにしている。この研究では、細胞の内部でムスカリンM1受容体が活性化される様子を直接的に検出する系を確立し、そのメカニズムの全容に迫る目的で行われた。細胞内で活性化される様子を検出するためにM1受容体に循環置換GFPを導入し、活性化に伴う蛍光の増加を呈するセンサーとした。今年度は、試験的に得られていたセンサーを改良し、細胞内局在性と活性化に伴う応答の安定した新しいセンサーを開発した。改良の際には、循環置換GFPの導入位置によって、蛍光変化量と細胞内局在性が大きく影響を受けることが分かり、結果的に多くの試作を行う必要が生じた。最終的に得られた同センサーを用いることで、細胞内M1受容体の活性化が、リガンドの細胞膜透過性の有無により影響を受けることを確認した。つまり、脂溶性が高く細胞膜を容易に透過するアゴニストは細胞内M1受容体を活性化し、水溶性が高く細胞膜透過性の低いアゴニストは細胞表面のM1受容体のみを活性化する。更に細胞膜透過性のない内因性リガンドであるアセチルコリンが、特定のトランスポーターによって細胞内へ輸送され、細胞内M1受容体を活性化する様子を確認した。更に、この活性化を可能とするトランスポーターについては、ヒトとマウスで一部異なる結果を得ており、現在その原因について解析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞内ムスカリン受容体の活性化を検出するセンサーについて改良を進めるとともに実験条件の検討を行い、安定して細胞内での活性化を検出できるようになったことは大きな進展である。更に、アセチルコリンの細胞内輸送に関わるトランスポーターのスクリーニングも進め、2つの候補を得ることに成功した。in vivoでの細胞内ムスカリン受容体活性化を調べるためのアデノ随伴ウイルスを用いた発現系の構築も行った。一方で、アセチルコリンの細胞内への取り込みを実証するために用いる予定であった放射性同位体で標識されたアセチルコリンが半年以上納入されない状況が続き、研究の進捗に影響することとなってしまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
放射性標識アセチルコリンの納入に漸く目途が立った状況であり、トランスポーターによるアセチルコリンの取り込み系に関する実証実験を行える予定となっている。今後は、初代培養神経細胞において細胞内ムスカリン受容体の活性化を実証するとともに、トランスポーターの寄与についてノックダウン実験を行い実証することとなる。更にin vivoでの実証に向けた検討も進める。
|
Causes of Carryover |
本年度に発注した、放射性同位体で標識されたアセチルコリンの納入が遅れ、結局本年度の納入が不可となったため、その分の額が次年度使用額として残された。当該製品は次年度での納入予定となったため、その費用としてこの次年度使用額は消費される予定である。
|
Research Products
(4 results)