2022 Fiscal Year Research-status Report
波動圧力ストレスによる血管平滑筋細胞miRNA発現変動及び役割に関する研究
Project/Area Number |
22K06648
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
町田 拓自 北海道医療大学, 薬学部, 准教授 (90433424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯塚 健治 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (10344467)
町田 麻依子 北海道科学大学, 薬学部, 准教授 (50347788)
平出 幸子 北海道医療大学, 薬学部, 助教 (50709277)
山本 隆弘 北海道医療大学, 薬学部, 助手 (50937125)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 圧力ストレス / 脳卒中易発症高血圧自然発症ラット / miRNA / 血管平滑筋細胞 / ドコサヘキサエン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、収縮期高血圧を擬似的に再現した圧力ストレスを培養血管平滑筋細胞に負荷することで、高血圧モデル血管細胞を作製し、高血圧環境でのmiRNA発現変動並びにドコサヘキサエン酸(DHA)の効果を明らかにすることを目的としている。具体的な検討項目として、①循環器疾患に関係するmiRNA発現が高血圧モデル細胞でどのように変動するかを明らかにする、②miRNAのmimic及びinhibitorを高血圧モデル細胞に導入し、細胞増殖能の変化とメカニズムを明らかにする、③DHAの薬理作用機序としてのmiRNA変動の関与を明らかにする、の3つである。 令和4年度は、収縮期高血圧を想定した圧力負荷をかけた実験的高血圧モデル血管平滑筋細胞と遺伝的に高血圧を発症する脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHRSP)の大動脈から単離した遺伝的高血圧モデル血管平滑筋細胞におけるmiRNA発現の変動を検討した。その結果、正常血圧ラット(WKY)由来の血管平滑筋細胞に収縮期高血圧を想定した圧力ストレスを負荷してもmiR-26a及びmiR-155発現とも影響は認められなかったが、SHRSP由来血管平滑筋細胞に同圧力ストレスを負荷すると両miRNA発現とも有意に増加した。SHRSP由来細胞でのみ圧力ストレスがmiRNA発現に影響を与えることを見出したため、このことがSHRSPの循環器疾患の発症、進展に関連している可能性が考えられた。 今後、実験的高血圧モデル血管細胞及び遺伝的高血圧モデル血管細胞にDHAを処理することでmiRNA発現がどのように変動するか、各細胞にmiR-26a及びmiR-155のmimic及びinhibitorを導入することで細胞機能がどのように変動するかを検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は、血管平滑筋細胞のmiR-26a、miR-29b、miR-155発現と高血圧との関連を探るべく、圧力負荷細胞とSHRSP由来細胞を用いて検討を行った。本実験系においてmiR-29b発現が認められなかったため、miR-26aとmiR-155発現をターゲットとした。WKY由来細胞と比較しSHRSP由来細胞では、miR-26a及びmiR-155発現が低い傾向が認められた。収縮期高血圧を想定した圧力負荷は、WKY由来細胞においては両miRNA発現に影響を与えなかったが、SHRSP由来細胞においては両miRNA発現とも有意に増加させた。このSHRSP由来細胞におけるmiRNA発現増加作用が、SHRSPの循環器疾患発症及び進展に関与するのか、または循環器疾患に対する防御機構として作動したものなのかを明らかにすべく、さらなる研究を計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ、本研究計画はおおむね順調に進展しているので、引き続き当初の計画通りに遂行していくことを基本とする。現在、初代培養細胞にmiRNA mimic及びinhibitorを導入する効果的な方法を検討中であり、導入細胞を作製した後は、その細胞機能を解析することで、miRNAの役割を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度は、北海道医療大学で継代繁殖している特殊な実験動物(SHRSP)を使用しての研究を行ったが、出産数の関係で当初予定頭数より若干少ない頭数での実験となった。生じた差額は、昨年度より相次いで値上がりした試薬等の値上がり分に相当するものであり、これにより当初の計画通り研究が遂行できると考えている。
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