2022 Fiscal Year Research-status Report
脂肪肝炎と腸管脂肪吸収とを制御する神経―免疫クロストークの役割解明
Project/Area Number |
22K06651
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
細野 加奈子 北里大学, 医学部, 講師 (80532556)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 脂肪肝炎 / 脂肪吸収 / CGRP / RAMP1 / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、肥満に伴う非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の罹病率が急増し、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)への進展が問題となっている。本研究ではNAFLDのNASHへの進展に果たすRAMP1シグナルの役割を解明すること、またRAMP1シグナルの乳糜管による脂肪吸収制御機構を解明し、NAFLDの発症・進展に関連することを明らかにすることを目的とした。本研究により、知覚神経系と免疫系との相互作用を介した脂肪肝と脂肪吸収制御の治療的意義を検証し、肥満に対する新規治療を目指した研究基盤を展開する。 雄性野生型マウス(WT)およびRAMP1ノックアウトマウス(RAMP1 KO)に高脂肪食(HFD, High Fat Diet)または普通食(ND, Normal Diet)を8週齢から20週齢までの12週間給餌した。その結果、NDを摂取した場合ではWTとRAMP1 KOで差は認められなかったが、高脂肪食を摂取したRAMP1 KOではWTに比べ、体重、肝重量、内臓脂肪量、血清コレステロール値、血清ALT値の増加が認められ、組織学的に評価したNAFLD活動性スコア(肝組織像から脂肪化、炎症、肝細胞風船化をスコア化)も高値を示した。また、肝線維化関連マーカーや炎症性サイトカインの遺伝子発現の増加、Sirius Red染色ではコラーゲン線維が多く観察された。これらの結果からRAMP1シグナルは脂肪負荷による肝内の炎症や線維化を抑制する作用があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度では、当初の予定通りNAFLDのNASHへの進展に果たすRAMP1シグナルの役割を解明するためにRAMP1 KO、野生型(WT)に高脂肪食または普通食を12週間給餌し、体重、肝重量、内臓脂肪量、血清ALT値などの変化を比較検討した。また、組織学的に脂肪肝活動性や線維化を評価した。さらなる検討を進めるため、モデル作製を継続中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、肝臓内に集積するマクロファージとその表現形式をフローサイトメトリー、免疫染色などで解析するとともに、炎症や線維化の原因となりうる免疫細胞(マクロファージ)について検討する。またsortingしたマクロファージを培養してRAMP1シグナルに依存し、NASHへの進展に関わる因子を特定する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度の研究遂行において、昨今の物価上昇に伴い実験動物の購入および飼料、飼育費用、抗体購入費用が当初の予定以上に必要になることが判明したため、今年度の消耗品費を節約して予算を繰り越した。
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Research Products
(1 results)