2022 Fiscal Year Research-status Report
骨髄腫の薬剤耐性におけるオートファジーネットワークの解明と、阻害による耐性化克服
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22K06653
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
森谷 昇太 東京医科大学, 医学部, 助教 (30634935)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 骨髄腫 / 微小環境 / オートファジー / マクロライド / プロテアソーム / ボルテゾミブ |
Outline of Annual Research Achievements |
骨髄腫難治性の原因の一つに、間質細胞と骨髄腫の接着によって誘導される間質誘導性薬剤抵抗がある。研究代表者はこれまで、間質細胞と骨髄腫細胞株を共培養すると、間質細胞側にオートファジーが誘導されるとの予備的知見を得ている。そこで、間質細胞誘導性薬剤抵抗におけるオートファジーの役割を解明するためにオートファジー誘導に必須なATG5遺伝子をCRISPR/Cas9で欠損したLP101骨髄間質細胞株を作成した。この間質細胞株のレイヤーの上に、EGFPで標識した骨髄腫細胞株(RPMI8226, IM-9)を播種し、フローサイトメーターで骨髄腫細胞株の生細胞数を検討した。骨髄腫の代表的な治療薬であるボルテゾミブ(BZ)の殺細胞作用を検討したところ、いずれの細胞株の組み合わせにおいても間質細胞はBZの骨髄腫細胞株に対する殺細胞作用を軽減させた。しかしながら、現状、野生型間質細胞株とATG5欠損間質細胞の比較では骨髄腫株に対する薬剤抵抗性の誘導能に明確な差は見られていない。今後、他の薬剤や別の間質細胞でも同様に検討を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、間質細胞のオートファジーは腫瘍にとって細胞保護的に働くものと考えており、この阻害により骨髄腫の殺細胞作用を増強させると予測していたが、当初予測したような効果は現状では認められていない。
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Strategy for Future Research Activity |
現状、間質細胞はLP101の1株のみでの実験であるので、間質細胞の種類を増やして同様に検討していく。また、BZ以外の骨髄腫治療薬についても検討していく。これまでの成果において研究代表者は、BZなどのプロテアソーム阻害剤によって誘導される細胞死促進タンパク質NOXAが骨髄腫細胞株に強力な殺細胞作用を誘導することを明らかにしている。NOXAは小胞体ストレスによる転写制御を受け、またプロテアソームおよびオートファジーによる分解制御を受けるが、今後、NOXAの人為的制御に基づく骨髄腫治療法の開発についても検討していく。
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Causes of Carryover |
実験系の構築段階であり、当初計画していた網羅的遺伝子解析を次年度に見送ったため。残金は次年度使用額に繰り越し、物品費に計上し、適切に使用していく。
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