2022 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病の治療・予防薬開発に向けた新規創薬ターゲットの探索
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22K06657
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
高鳥 悠記 同志社女子大学, 薬学部, 助教 (90411090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久米 利明 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 教授 (10303843)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー病の根本治療薬は現在までに存在しておらず、対症療法薬として最も広く用いられているアセチルコリンエステラーゼ (AChE) 阻害薬は、コリン作動性神経伝達を賦活することでアルツハイマー病の認知機能障害を改善すると考えられている。しかし申請者らは、これらのAChE阻害活性と治療効果に相関が見られず、AChE阻害以外の作用機序の存在を指摘してきた。これまでに、アルツハイマー病治療薬ドネペジルがニコチン性アセチルコリン受容体 (nAChR)シグナル経路の活性化を介して神経保護作用を示すこと、またドネペジルがnAChRの発現量の上昇を惹起することも報告している。さらに、ドネペジルがSNX33の発現上昇を介してAPPのエンドサイトーシスを減少させることで細胞膜表面APP発現量を増加させ、Aβ発現量を抑制することを明らかにしている。 本研究では、アルツハイマー病治療薬の神経保護作用の作用点としてSNX33をはじめとする特定遺伝子を標的とした具体的な解析を通じて、アルツハイマー病治療薬および予防薬の創薬ターゲットを明らかにする。アルツハイマー病治療薬ドネペジルがSNX33発現を上昇させる作用があることが明らかになったので、次に、SNX33自体が神経保護作用を有するか、Aβ産生を抑制するかどうかについて、in vitro解析を行った。これまでに、初代培養大脳皮質細胞において、SNX33モルフォリノオリゴを導入することによりSNX33発現を抑制することが可能となっている。本研究では、培養細胞にSNX33をトランスフェクトした新たな系を用いて、まず、SNX33の過剰発現および欠損が、グルタミン酸神経毒性に対するアルツハイマー病治療薬ドネペジルの保護作用に与える影響について検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学における遺伝子組み換え実験計画書の変更時期と重なり、申請書類の手続きや承認に時間がかかって、開始が遅れてしまった。その後は2022年度の研究計画通り、培養細胞にSNX33をトランスフェクトすることが出来ており、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
SNX33の過剰発現および欠損が、グルタミン酸神経毒性に対するアルツハイマー病治療薬ドネペジルの保護作用に与える影響について、予想通りの結果が得られるか、トリパンブルー除去法およびLDH release assayを用いて細胞生存率を測定することにより検証する。
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Causes of Carryover |
大学における遺伝子組み換え実験計画書の変更時期と重なり、申請書類の手続きや承認に時間がかかって、開始が遅れてしまった。このため、今年度において前年度分を使用する予定である。
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