2023 Fiscal Year Research-status Report
多彩な構造を有する天然物の迅速評価による核内受容体の活性化・阻害と構造の相関解析
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22K06664
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
関口 光広 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (40822490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小橋川 敬博 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 准教授 (90455600)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 核内受容体 / 酵素誘導 / 天然有機化合物 / 構造活性相関 |
Outline of Annual Research Achievements |
核内受容体タンパク質PXR (Pregnane X receptor) やCAR(Constitutive Androstane Receptor)は外因性のリガンドの作用によって活性化や阻害され、薬物代謝酵素の誘導や阻害を引き起こすため、摂取した医薬品の効果を減弱や増強させてしまう。そのため、機能発現のコントロールが重要である。 PXR、CARのリガンド結合領域は非常に大きく、また特異性が低いため、現在までPXR, CARの活性を調節する成分やその構造的特徴についての知見は乏しい。そこで、CAR、PXRに対する作動薬、逆作動薬、拮抗薬を食品成分より体系的に探索することで各機能発現のための化合物の構造上の特徴を明らかにすることを目的とした。
迅速に核内受容体タンパク質PXR, CARとの結合評価が可能な物理化学的評価法を確立し、食品成分のスクリーニングを実施したところ、セージに含まれる13-epimanoolがCARと結合することを見出した。そこで、同じラブダン骨格を有するジテルペノイドのmanoolとsclareolを含めた3つの化合物を用いてCARへの作用を解析した。 Thermal shift assayによって、3つの化合物はCARタンパク質との複合体形成時の構造安定性は大きく変わらないこと、つまり結合力は大きく変わらないことを明らかにした。一方、ルシフェラーゼアッセイにおいてはmanoolはpartial agonist、13-epimanoolは弱いpartial agonist、sclareolはantagonist活性をそれぞれ有していることを見出した。3つの化合物の構造の違いは、13位の立体構造と8位の構造であり、ラブダンジテルペノイドにおいてはこれらの構造の違いがCARのagonist、antagonist活性に影響を与えていることを明らかにした。 同様に、PXRに対するスクリーニングも行い、新規リガンドを見出した。現在構造類似化合物も含めて活性の評価を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
結合アッセイおよびレポーターアッセイを通じて、CARに結合する新たな化合物を見出し、2か所の構造の違いにより活性が大きく異なることを見出した。 また、論文および学会で発表する事で世の中に知見を還元した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に明らかとなったCARのリガンド化合物の構造の違いによる活性の違いについて、その理由を明らかにするために関連化合物の評価、計算科学を用いた複合体予測を実施する。 また、PXRについても同様に評価する事で、機能発現のための構造の必要条件を解明する。
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Causes of Carryover |
分離用担体の買い替えが次年度に繰り越したため
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